当社は、創業当時から一貫して電子・電気機器の製品開発、設計を生業とした技術集団として活動して参りました。受託製品開発サービスを主とし、3DCADを使用した設計業務のほかに試作品の作製はもとより、強度解析、製品金型リリース等、量産準備の完了まで広くサポートしております。
また、大手電子部品メーカーに自社のエンジニアを派遣し、相手先のエンジニアと一体となって新製品開発に携わって参りました。
さらに、設立当初から自社製品開発を手掛けており、高度難聴用補聴器、牛肉画像処理、トルクリミッタなどを開発し、近年は大学と共同して車内販売用ワゴン車の研究開発を行っております。
製品の開発ステージにおいては単なる設計のアウトソーシングに留まらず、製品のベンチマーク調査、それに基づくコンセプト提案から金型リリース等、量産準備の完了までを広くサポートしております。
当社は、企業としてお客さまに技術サービスの品質を保証する仕組みを構築し、客観的な国際標準規格であるISO9001認証取得しました。本品質マネジメントシステムにおいて、顧客要求事項を満足する品質を保証するプロセス、その品質を安定的かつ継続的に提供するプロセスとともに、顧客満足の最大化に日々努めております。
『人にやさしい電動輸送機器の開発』
少子高齢化に伴い、今後、物流業界も様々な変革を必要としております。そうした状況の中、当社は様々な物流輸送手段として、電動アシスト制御を用いた人にやさしい輸送機器の開発を進めております。具体的には、鉄道車両の車内販売用ワゴン車の開発に取り組んでおり、車内販売従事者のワゴン移動力の軽減を目指しております。
同社は近年、受託製品開発業務に重きを置いてきたところ、自社独自の製品開発により他社との差別化、ひいてはそれが企業存続のポイントになるとの認識から、大学等と共同研究を始めました。県のいわて戦略的研究開発支援事業に採択され、新幹線用「パワーアシスト付き車内販売用ワゴン車」の研究開発を進める中、電気回路に工夫を加えることによりバッテリーの劣化抑制を実現できました。そこで、この工夫部分を特許にすべく明文化及び先行技術の予備調査も終えて、窓口にお越しになりました。
上記の工夫部分はモーターに生じた「回生電力」処理に関するもので、従来技術との差異を明確に把握することが難しいことから、このような技術に詳しい当窓口の専門家(弁理士)を派遣し相談をお受けしました。また、特許化にはアイデアの新規性が大事であることから、(独)工業所有権情報・研修館の「中小企業等特許情報分析活用事業」を紹介し、先行技術調査をしてもらうよう勧めました。同社はこの事業に採択され、結果、先行技術の調査費用を削減でき、特許出願明細書作成に役立てることができました。
その後、開発中の「パワーアシスト付き車内販売用ワゴン車」に関して、同社の他の部署から、「高価で過剰品質のセンサーを使わずに所望の動きが得られる工夫をしているが、この工夫部分に他社の特許権が効いていないか」との相談がありました。そのため、特許検索方法、特許公報の見方、権利範囲の考え方、特許権の存否などを理解いただきました。また、技術ノウハウの管理にも関心ありとのことでしたため、営業秘密管理の概要についても理解いただき、専門家(INPIT知的財産戦略アドバイザー)による派遣相談を受けるに至っています。
出願することだけで知財保護を図るのではなく、あえて秘匿して「ノウハウ管理」することや、特許以外でも、たとえば商標登録により自社ブランドの保護を図って他社と差別化するなど、知財保護に関する様々な方法があることを理解いただき、多様な対応を考えることができるようになりました。
今まで、製品開発には特許や商標登録等が一番と思ってきましたが、そのほかにも「ノウハウ管理」という方法で会社の知財保護できるなど様々なことを知財総合支援窓口で教わりました。皆様も知財に関してお悩みの際は気軽に支援窓口にご相談することをお勧めいたします。
知財保護全般について関心が高く、今後も大いに権利の取得・活用が期待できる企業であると思われます。また、「ISO品質管理」に加え「営業秘密管理」も、良き企業風土としていただき、体制を整えながら、独自の差別化製品を開発されるよう期待しています。
(加藤 雅一)
自社開発製品の知財保護推進(265.5 KB)
掲載年月日:2018年2月22日
更新年月日:2020年9月10日