知財経営とは
知的財産によって競争力を確保・維持・強化
知財経営とは、一言でいえば、「知的財産によって競争力を確保・維持・強化する経営手法」といえます。
産業を取り巻く競争力の源泉は大きく変わってきています。異分野や大企業、海外からの市場参入など、品質やコストだけでは維持できない状況がこれからは顕著になると考えられます。このような中で知財経営を実行することは、競合他社の安易な市場参入を抑えて、価格競争に陥ることなく利益率の向上を実現できる大きなメリットになります。
市場参入を抑えるために、自社の開発した技術や製品を特許など「知的財産権」の形で資産化し、その権利をもって他社の侵害への対抗やライセンス付与など適切な活用により市場での技術的優位性を持つための障壁を形成することが重要です。これをマーケットコントロールと呼び、知財によって市場をコントロールすることによって利益を確保する経営戦略がこれからの新たな競争力の源泉となるのです。また、自社が権利侵害をしたときの迅速かつ適切な対応、他社とのライセンス契約により市場と利益の拡大などのメリットもあげられます。
三位一体の企業戦略
知財経営では事業戦略・研究開発戦略・知的財産戦略の三位一体の企業戦略を推奨しています。
三位一体の企業戦略を推進する重要なポイントは特許調査です。特許調査により自社の技術や他社の技術の棚卸しを行い、特許マップ等にまとめることが、参入障壁となる知的財産が構築できるのかできないのか、競合他社とどのように対抗していくか、技術移転や共同開発などの可能性など、企業戦略の方向性を判断する指標として大きな役割を果たします。
企業における知的財産戦略の位置づけ
知財戦略があることのメリット
- 自社の特許技術が認められ、大手企業とライセンス契約を締結すれば、大きな利益を得ることができる。
- 特許を取ることで、自社の主力製品の市場へのライバル企業の参入を阻止することができる。
- 権利侵害のクレームを受けた時、即座に適切な対応をとることができる。
知財戦略がないことによるデメリット
- 自社の技術がライバル企業に真似され、低価格製品が出てしまうと、自社製品の売れ行きが大きく落ち込む。
- 自社製品の模倣品が氾濫しても、技術を権利化していないと、泣き寝入りをするしかない。
特許調査からわかること
- 自社のビジネスに影響を及ぼす他社特許を把握できる
- 出願予定の発明が特許になるか否か判断できる
- 技術動向を把握できる
- ライバル企業動向を把握できる
- 自社のビジネスの障害となる他社特許を調査できる
- 欲しい技術を見つけられる
引用 特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル」
独立行政法人中小企業基盤整備機構「J-Net21」