窓口支援事例
CSS株式会社
特許商標

西陣織技術を特許化した電子ジャカード機

企業情報

所在地
岩倉市曽野町709
ホームページ URL
http://www.css-corp.jp/
設立年
昭和63年
業 種
製造業
従業員数
9人
資本金
1000万円

企業概要

 西陣織に代表されるジャカード機は紋紙方式→FD方式→USB方式へと技術革新を迫られる中、当社は繊維業を中心としたソフト・ハードの開発及び製造販売に取り組んできました。海外メーカーの電子ジャカード機は復動式であるのに対し、西陣織の帯・着物・お守り・法衣の様な複雑な柄や風合いを必要とし複雑な柄や風合いを必要とし織ることを得意とする単動式ジャカード機であるため競業はしていません。
 一方、二社あった既存メーカーは廃業となり、当社はFDに代わるUSBコントローラーを開発し、バネを使わない構造の「ダイレクトジャカード機」の発明と、横針をプッシュレバーにした新たな「単動式電子ジャカード機」の発明を行いました。

自社の強み

 従来機は、横針の動作制御にバネを用いていたため、ソレノイドやバネに油が付着し誤作動する課題がありました。より動作精度を高めるため駆動方式を圧電素子に変更し、バネの代わりにプレート機構を設け、一括で横針を元の位置に戻す構造にしたことにより、従来機の課題を改善した「ダイレクトジャカード機」を自社開発し、特許を取得しました。本機の開発や事業化に当たっては、経済産業省中部経済産業局から地域産業資源活用計画認定を受け、補助金等の支援策を活用しました。

一押し商品

 ジャカード構造は横針を押す事で縦針が落ちる構造になっている。従来の縦針を確実に落とす、横針をプッシュレバー方式の構造を発明しました。駆動も圧電素子にすることで軽量化と稼働音も低くすることができました。また現場で容易にカセット交換ができる構造にした新製品「単動式電子ジャカード機」は、上記方式にする発明で特許を取得しました。2019年にはサ-ボモータ付単動式電子ジャカードを開発し、同期で動かす事で、今まで必要不可欠であった織機と電子ジャカードを繋ぐ駆動部分が不要になったことにより、作業場は広くなり作業者の安全にもなりました。また、愛知県開発審査会にて最先端技術として認定され岩倉市内の農地に新工場を建設する計画はコロナ禍により中断しています。なお、経済産業省中部経済産業局から地域産業資源活用計画の認定を受け、さらに技術革新企業に認定され補助金等の支援策を活用しています。

知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 多くのジャカード機メーカーが製造を中止する中、当社は日本の誇る西陣織の伝統技術の伝承を護るため、積極的に既存メーカーにも対応したUSBコントローラー等を開発している。中でも開発製品の特許等の権利化について関心は高く、旧特許流通アドバイザーからの紹介により窓口担当者が同社を訪問し、特許、商標の権利取得を目指すことになりました。

最初の相談概要

 二社の既存メーカーが20年位前に廃業したことで国内全土の単動式ジャカード機が老朽化し、西陣・丹後などでジャカード機を活用したものづくりができなくなるという危機感が当社に有りました。
 この様な状況の中、既存に替わる「ダイレクトジャカード機」を開発しましたが、発明の保護が十分では有りませんでした。その後、権利保護に対するサポートとして、①発明の発掘、②IPDL(現在の特許情報プラットフォーム)による特許・商標の先行技術調査支援、③特許出願の発明の特定、特許事務所との連携による明細書作成支援、自己の公知行為による新規性喪失の例外適用の手続支援、④特許庁の中小企業支援施策として早期審査、特許料等軽減制度の活用支援などを行うことにより国内特許権2件、商標権2件を取得しました。

その後の相談概要

 経営戦略のサポートとして、専門家派遣を実施し課題を解決すべく支援を行いました。
 資金金繰り改善について、キャッシュフローが一目でわかるような項目への変更、現状製品の売上を向上させるために従来以上の展示会等でのPRの活性化手法、カセット不良防止に関する技術的支援、受注に向けたものづくり補助金制度の紹介等を行いました。
 その後、単動式電子ジャカード機の製造過程で発生した課題の解決が、新たな改良発明となり、特許出願2件の手続を行い、早期権利化を実現しました。

窓口を活用して変わったところ

 当社の「単動式電子ジャカード機」等の開発技術は知財総合支援窓口を活用して権利化ができ、展示会等における製品のPR効果もあって売上増に結びつき、西陣織業界への地方自治体による地域振興の追い風もあって、業界ではオンリーワン企業です。
 その後の更なる受注対応を考え、新工場への設備投資などに知財総合支援窓口の登録専門家を活用して、知財・経営・ノウハウの各戦略による事業展開を引き続き推進しています。


企業からのメッセージ

 開発した製品の産業財産権(特許権、商標権)の権利化だけでなく、窓口相談員との連携によって各分野の専門家の支援を受けることができ、経営面、製造工程の見直しなどで収益向上に結びつけることができる支援制度であり、今後も活用したいと考えています。

窓口担当者から一言

経営者のものづくりに対する熱意や経営者・社員一丸となって研究し、ジャカード機等の試作・改良を繰り返して西陣・丹後などの機織業界が満足できる製品を提供するという熱心さに感動を受け、支援しました。中小企業の身近な相談員として、大いに活用して頂きたいと思います。 (井上 勝)

西陣織技術を特許化した電子ジャカード機(4.9 MB)

このページを印刷する

掲載年月日:2014年9月 5日

更新年月日:2022年9月 8日

トップに戻る
  • 特許庁
  • 経済産業省
  • 独立行政法人
  • 知的財産相談・支援ポータルサイト
  • よろず支援拠点