当社はこぢんまりとした企業ですが、独自開発力を武器に製鉄所向け特殊工具、土木用資材を製造販売し、特に高炉用の高機能微粉炭(PC)バーナーと強力固着超硬チップ開孔ビットは知財(特許、ノウハウ)を活用し、国内はもとより海外への販路拡大を目指しているものです。
これら技術の基礎となった土木用特殊工具や資材でも着実に技術を積み重ね皆様の信頼を築いています。
自社開発技術は、必ず知財で保護し、需要者に技術提案することをモットーに、需要者の厚い技術的信頼を得ております。また自社開発技術を知財で保護することは、作業担当者の自信にも繋がっています。右は当社の技術の結晶のひとつ「強力固着超硬チップ開孔ビット」(特許第5360532号)。
右写真のPCバーナーは、それ自体を自在回転式にしたことにより、高炉の操業中に漏風することなく、より安全にバーナーを回転させ適切な状態に調整することを可能にしたものです。また、バーナー先端部を耐熱コーティングすることで、従来よりも長寿命化を実現しています(特許5105293号)。本商品は、平成25年度九州地方発明表彰/中小企業長官賞を受賞したものです。?
海外展開に際し、PCT出願中の特許を国内移行したいので金銭的支援策はないか、またこの特許の状況を知りたいと社長自ら知財総合支援窓口に見えられました。その際、海外での権利化に支障をきたしているなど、大きな問題を抱えていることが窺えました。
PCT出願の特許は、不可抗力的要素で拒絶となっていたことがわかり、新たに国際出願に関する実績が豊富な代理人事務所を立て、回復措置を検討することが最初で最大の課題となり、社長、Jターンした開発経験のある知財担当者及び仲介の弁理士と情報解析し、解決の方向性を見出すことに対し支援しました。
矢継ぎ早に持ち上がった知財問題に、これまで特許等の実務経験は全くなかった知財担当者は、足繁く知財総合支援窓口を訪れるようになりました。
その旺盛な意欲が功を奏し、海外展開に向けた新技術の権利取得について弁理士の効果的活用により、海外展開への新たな基盤を作るとともに、商標取得もできました。そして、企業間契約、産学共同技術開発、取得知財の管理、競合企業との知財トラブルとほとんどの知財業務を短期間でこなし、知財総合支援窓口を利用することにより実質的に知財担当としての十分な役割を果たせるまでになりました。
最初の二年間は、何でも聞くというスタンスで頻繁に窓口をご利用頂いていましたが、一昨年(2013年)8月に知財担当部署が設置されるとともにその頻度も少なくなり、相談も高度なものへとなりつつあります。知財課課長の肩書もつき、発明提案制度の普及、職務発明制度の導入など社内への知財マインド形成にも努力されています。
赴任当初から海外展開や特許が取れないなどの難問を抱え、足しげく知財総合支援窓口に通ったことを思い出します。しかし、今では、社長と対等に知財について意見を交わすとともに、当県や地元大学から「知財を活用している企業」として講演依頼までされるようになりました。解決の糸口発見のためとにかく扉を叩いてみることをお勧めします。
特許の相談がよくもこんなにいろいろあるものだと感心したり苦労したりの連続でした。社長が知財活用に積極的なことと、知財担当者の貪欲な吸収力が、この成果につながったと思います。 (佐々木 俊司)
信頼の高炉関連技術で世界に羽ばたく(313.0 KB)
掲載年月日:2015年12月16日
更新年月日:2023年8月30日