当社は、業歴12年の建築資材加工(集成材練り付け)を手掛ける製造業であり、床の間材・リフォーム材等の和風造作材を主として生産しています。
2015年に経営革新計画として熊本県の承認証を受け、付加価値向上・特注・色合わせ等のお客様ニーズに応え、伝統を守り、且つ高品質な商品提供を目指して、事業に取り組んでおります。
当社は、熟練した職人技術を有した経験豊富な人材が多数在籍しており、その匠の技を活かして、お客様に満足して頂ける製品を提供できると自負しております。
特に、和風建築に欠かせない「床の間の造形」は「日本の心」でもあり、当社の最も得意とするところであります。また、これらの伝統的な建築技術を、近代的にアレンジし調和した和風感覚によって製品づくりを行っております。
当社は、製造工程(塗装仕上げ)に焦点を絞り、新しい塗装技術を付加した商品開発に取り組み、ウレタン塗装で漆調を実現する「肥後斑塗り」を開発しました。「肥後斑塗り」は、高級感に溢れ、日本古来の美を追求した模様を取り入れ、住宅の洋風・和風に左右されない造り・装飾を実現できる技術です。
この「肥後斑塗り」を施した新ブランドとして「肥後斑彩華」を立ち上げ、新商品を開発しております。この商品は、熟練した技術者がひとつひとつ作り上げる工芸品でもあり、同じ模様が他に存在しない【唯一無二】の1点ものとして販売を開始し、お客様にも好評を頂いております。
八代商工会議所から、同社は新しい塗装技術を用いた建築資材を開発中であるが、この新製品で特許又は実用新案の権利化ができないか?また同社は、過去に知財活動(特許等の出願など)の経験が全くないので、支援して欲しいとの要請を受け、支援を開始しました。
先ず同社を訪問し、新製品の具体的な技術内容を確認させて頂き、この業界における同社の位置づけと、今後の事業拡大の方針及び、本アイデアを思い立ち新製品の開発を開始するに至った経緯と、この新規事業にかける熱い思いをお聞きしました。
また、併せて特許・実用新案とはどんな制度なのか?その概要と、及び先願調査の重要性と検索方法、出願の手続きについて指導を行いました。
アイデアの権利化に関しては、試作品を基にして塗装技術者と共にブラッシュアップを重ね、専門家(弁理士)派遣を2回実施し、実用新案「漆調の斑模様を有する室内装飾品」として出願・登録をすることが出来ました。
また、同社のブランド戦略の重要性と商標制度の説明をさせて頂き、商標「肥後斑塗り」「肥後斑彩華」の2件の出願・登録することが出来ました。
この新製品は、県内外での展示会やフェア等にて出品を行い、展示販売実績も上がっており、顧客からの引き合いも来ているとの事です。また、この技術を用いた家具などの新製品開発も検討されており、今後の展開に大きな期待を抱いております。
同社は、今回の支援を通して知的財産権について理解を深めて頂き、その重要性について認識して頂くことが出来ました。特に、他社商品との差別化が可能となる事で、同業界において市場優位性に繋がることを認識して頂きました。今後は、この新製品が同社主力となる事を期待し、更に知財活動が今後の事業に有意義に活用されることを願っています。
アイデアがあっても表に出す手段が分からず、又自信がない中で相談窓口の助言に最高に感謝いたしております。おかげさまで、不安なく自信をもって販売・販促ルートなどを展開して行くことが出来ます。新しい事へのチャレンジには必ず問題が発生しますが、要は「やるか・やらないか」であり、その「答え」は「1歩前進」と理解しています。できないと言われた言葉ほど重く、値千金の答えを出すチャンスであると信じて行動していきます。
不況の中においても競合他社に負けない会社づくりを目指して、アイデアマンである社長の強いリーダーシップと行動力に圧倒されました。今後は、新製品の販路開拓やブランド展開など新たな課題に向けて継続して支援を行っていきたいと考えております。 (吉本 隆夫)
新しい工芸品「肥後斑塗り」の開発(861.1 KB)
掲載年月日:2016年1月27日
更新年月日:2018年10月11日