当社は、家屋の内外装仕上げ全般(内外リフォーム)を手掛けており、得意とする工事は屋根板金(雪が滑りにくい高耐久屋根材施工)です。その他、内装工事(光触媒吹付け)、塗装工事(遮熱性塗装、他)、外装工事(断熱性GLカラー鋼板、他)、太陽熱発電パネル取付等を業務内容としています。
当社には、社長をはじめとして施工管理技士、建築板金基幹技能士等の有資格者が在籍しているため、家屋等の内外装仕上げには自信があります。
また、15年程前より使用している輸入屋根材ディーズルーフィング(雪が滑り落ちない、雨音しない、高耐光30年補償、遮熱に優れ)については施工実績が認められ、東北3県の代理店認定を受けて資材供給、自社施工を行い、着実に売り上げを伸ばしています。
当社の一押しは、『樋保持具用支持金具』(実用新案登録第3198271号)です。これは管状の雨樋を、家屋の外壁等に這わせて固定するときに使う雨樋の保持具を支持する支持金具です。この金具を使うことにより、該外壁からの雨樋の位置を可変自在に決めることができ、雨樋の施工には重宝します。
この実用新案品は、在庫数の削減、施工の簡略化、等々の特徴があり今後期待できる商品です。さらにバラエティ化を進め、一押し商品群とする計画です。
同社は以前、同業他社に、今回とは別のアイデアを話したためにその他社に権利化され、商品化された苦い経験があります。そこで、同社は、自社で開発した雨樋の支持具について、事前に何らかの知財的な保護策を講じる必要があると考えていました。そこでWEBサイトを検索する中、知財総合支援窓口を知り、サンプルを持って当窓口にお越しになりました。
同社が開発した雨樋支持具は、同社で調べた範囲では新しく、特許か実用新案で権利化したいという相談でした。そこで、特許および実用新案の制度と費用、知財データベースによる調査方法、出願等の減免制度等を説明し、同社でさらに先行技術調査した後、必要であれば専門家の無料相談を受けられる旨を話しました。
同社は、その後、先行技術調査を行い、専門家の駐在相談日に知財総合支援窓口にお越しになりました。担当弁理士は、その場で先行技術に関する検討を行い、構成・効果で新規性が主張できる可能性がある旨を助言し、また、弁理士会の復興支援制度の紹介をしました。その後、専門家派遣制度を活用して発明のポイントを詰め、権利の幅を広げるための検討を行いました。
同社は、今回の知財化に向けた検討のなかで、他社特許の経過情報の見方、自社発明の捉え方、従来技術との差異の出し方等を経験され、開発型企業としての底力をさらに増されたと推察します。
こんな物があったら良いな、便利だなとふと思って知財総合支援窓口に相談した結果、既存にあるか無いか調べる方法、専門家の紹介、助成金の活用等々の指導を頂き今回の運びとなりました。
皆様方におかれましても、ちょっとした便利な物が頭に浮かんだら相談することをお奨め致します。
本件は当初、新規性の主張が難しい案件であるとの印象を受けました。相談者とともに先行技術の確認を行い、また弁理士との議論の末、出願に至りました。復興支援制度を利用できたことも幸運でした。一見簡単な技術でも利用価値の高い案件は、頑張って出願に繋げてあげる重要性を実感した事例でした。 (加藤 雅一)
雨樋施工の効率化を図る建材金具に係る知財化支援(306.1 KB)
掲載年月日:2016年1月27日
更新年月日:2023年8月24日