当社は、昭和25年に設立しPP、PE延伸ロープの生産を始め、本格的にプラスチック業界に参入しました。昭和61年に紙袋用把手として、成形品であるハッピータッグを開発することに成功し、成形機を多数導入して量産体制に入りました。その後も紐に樹脂をインサート成形で加工するカンタッグ(意匠登録第1156710号、第1162930号)や、段ボール用シール型把手としてタックハンドル(特許第3599307号)など、多くの把手開発品を世の中に送り出してきました。把手のシェアは全国の約60%を占めており、新しくハッピーサークル(意匠登録第1524212号)という把手も開発しました。
当社は、常に把手をお使い頂くお客様からの声に耳を傾け「このような把手があれば便利なのに」「このような材質にすれば手が痛くないのに」「かわいい把手が欲しい」というような声を元に開発を行ってきました。豊富な経験と知識、設備、技術力により、お客様の声を形にし、商品に出来ます。これらの開発商品で知的財産権(特許・意匠)の取得に努め、海外知財プロデューサーの助言を受け、模倣品、類似品への防止対策を行っています。
平成27年には「ハッピーサークル」という把手の開発が完了し、本格的に販売を始めました。従来の2本使いのハッピータッグとは違い、1本で使用できます。従来の袋閉じの技術、成形技術は生かしたまま、袋を閉じた際には円(サークル)になるようなデザイン性を重視した把手です。まずは主に小袋をターゲットとする小さい把手を開発しましたが、今後大きな袋にも対応できる商品も開発する予定です。東京での販促EXPO2015にも出展し、多くの評価、引き合いを頂きました。
同社の製造工程で発生する技術的な課題を解決するための相談を受け、同社を訪問したことがきっかけで、それ以後、同社の設備改良のための補助金の紹介、開発商品のデザイン、意匠登録出願の相談等、継続して知財総合支援窓口を活用しています。
射出成型した樹脂製品に転写印刷を施す工程で、しわや剥がれなどの不良品の発生率が高く、この発生率を低減させるために、改良印刷機を導入したいとの相談があり、平成25年度補正予算のものづくり補助事業を紹介しました。また、技術的な課題を解決するために、公的機関の技術担当コーディネーターの相談窓口を紹介しました。
同社では、小袋用把手の開発を行なっていましたが、納得できるデザインのものには至らず、開発が行き詰っていました。良い方法は無いかとの相談があり、プロダクトデザイナーを紹介し、デザインの依頼を行ない、同デザイナーにより、「ハッピーサークル」のデザインが完成しました。また、意匠に精通している弁理士を紹介し、「ハッピーサークル」の意匠登録も行ないました。
同社は、今まで係争を含め、知的財産に関しては、ほとんど特許事務所まかせでありました。何件かの知財紛争を経験していますが、思うような結果が得られていませんでした。この知財紛争を経験してから、同社では知財の重要性に目覚め、知財総合支援窓口を活用して、知的財産についての知識習得に努めるようになりました。現在では、自社出願も行なうようになり、開発から製造の各段階において、知財を意識するようになりました。
オリジナルデザインを生み出し、製品化するまでには多くの時間と費用を要します。容易な模倣品による被害を防ぐ為、知的財産権の取得は非常に重要だと考えています。意匠出願書類の書き方を指導して頂き、社内でも出願書類の作成が出来るようになりました。このような知的財産の悩みだけではなく、企業や大学、弁理士等の専門家まで幅広く知財総合支援窓口を通して紹介頂きました。悩みや課題を幅広くサポート頂ける知財総合支援窓口に相談することをお勧めします。
同社は、各種樹脂製品の製造・販売を行なっており、その中でも把手は非常に高い国内シェアを占めています。さらに、知財総合支援窓口を活用して、「ハッピーサークル」というデザイン性に大変優れた把手を商品化し、知財を活用した模倣品対策を行ない、知財の重要性を実感するようになりました。 (黒田 茂)
画期的な袋物用把手の商品化(169.0 KB)
掲載年月日:2016年4月11日