当社は、洋服のリフォームを主に行ってきた会社です。近年は、服のリフォームで培った縫製のノウハウや、生地に対する知識を生かし、医療、健康等用途を中心とした製品開発を積極的に行っています。
開発に当たっては大学病院や国立病院等の医療機関と連携して取り組んでいます。医療現場の生の声を反映させた商品開発に取り組むことにより、市場性の高い、商品価値のある製品を生み出しています。
中小企業ならではのフットワークのよさを生かし、スピーディでレスポンスの早い開発を心がけています。
ファッションウエストベルト(特許第5912522号)
「締めつけ感がないのに腰をしっかりサポート」
ストレッチデニム(ジーンズ生地)のファッション性と、縦方向と横方向の伸び特性の違い、耐久性の高さに着目して、従来にはない、人にやさしく、機能性に優れたウエストベルトを広島大学大学院医歯薬保健学研究院との共同研究により開発しました。種類も豊富で、広島カープとのコラボ商品も取り揃えています。
同社は、ファッションウエストベルトの商品化にあたり、公益財団法人くれ産業振興センターの支援を受けておられました。当該センターからの依頼により、当窓口の臨時窓口(呉市 公益社団法人くれ産業振興センターにて開催)で相談を受けられました。
ファッションウエストベルトの機能についてどのような要件で権利化を行うか、当該センターのコーディネータとともに議論を重ねました。いくつか実験も行われ、得られた結果を元に特許を出願することとし、専門家(弁理士)を派遣し、出願内容の検討を行いました。その後、弁理士を通じて手続きをされ、登録することができました。
同社は、乳がん患者のバストの再建手術後圧迫サポートバンドを広島大学病院と共同で開発され、意匠出願の支援を行いました。出願手続きは自社で行われ、登録査定となり、現在は病院内売店で販売中です(意匠登録第1576676号)。ほかにも医療機関との連携での開発を強化し、複数の案件で大学病院や国立病院機構との共同開発を行われています。各種補助金も活用し、県の医工連携チームや公益財団法人ひろしま産業振興機構などの公的機関の支援も積極的に受けられています。製品化に関連して弁理士の専門家派遣も複数回行っており、製品の特性によって、特許、意匠および商標などの出願を検討されています。
製品化と知財の確保についての知識が深まり、適切なタイミングでの相談が多くなってきました。また、代理人の活用においても、専門的な知識が必要な特許は弁理士に依頼し、意匠、商標等については、自社出願を行うなど、費用対効果を考えた効率的な出願を実施されるようになりました。
知財総合支援窓口に相談を重ね、指導していただいた結果、特許・意匠などを登録することができました。窓口では、いつも親身に対応していただき、製品化への道が開けました。窓口を利用することで登録までの費用が低く抑えられ、心配していた登録も早く実現できました。気軽に利用できる窓口であり、大きな心の支えにもなりました。
リフォーム業からの出発のため、当初は自社製品の製造は経験がない状態でしたが、支援機関をうまく活用し、ニーズをキャッチした製品開発を行われています。中小企業ならではの小回りのきいた製品開発を実施していらっしゃると思います。今後も事業に役立つ知財のご支援をさせていただきたいと思っています。 (柳下 加寿子)
医療現場のニーズをキャッチした製品開発(509.7 KB)
掲載年月日:2017年6月26日
更新年月日:2019年8月 7日