当社は昭和60年に操業を開始し、縫製用生産システム(PCS)のデモ工場と販売を主にしていましたが、平成4年からは、既製服の縫製加工一筋に取り組んできました。
事業は本業(縫製業)から逸脱をしない範囲で、種々の製品に取り組み、昔から言われている、生産の三大要素の有効活用を常態化する会社運営を目指し、現在は新たな要素として追加された情報(生産業においては技術・生産技術)の蓄積をモットーに進めています。
その蓄積した技術を異業種との交流の中から、今の時代が求めている商品作りにつなげ、社会に供給し、同時に「ものづくり」の楽しさ、喜びを伝えていきたいと考えております。
長年培った高度な縫製加工技術と、素材への対応力が当社の強みです。そしてこの縫製加工技術を活かし、はく骨盤バランスサポーター「ペルファイン」のような新商品開発に取り組んでいます。
また、平成29年から、協賛企業数社で「ブランディングネットしまね協同組合」を立ち上げ、販売体制を確立しつつ、新商品の開発・生産・販売を手掛けていく予定です。
平成29年1月より販売開始した、はく骨盤バランスサポーター「ペルファイン」が一押し商品です。
昔から、重たいものを持つ酒屋や醤油屋等の職人は、前掛けの紐を腰より少し下の骨盤周りで締めて固定しています。これは腰を痛めないための素晴らしい先人の知恵です。
本商品は、パンツに固定されたベルトを軽く止めるだけで、骨盤の適正位置が包むように支えられ、腰への負荷の偏りを防ぎ心地よく腰の状態を改善します。
医療者による実証検査でも効果が実証されており、腰痛や腰の不調でお悩みの方、長時間のデスクワークや立ち仕事の方、介護・医療現場で働く方、などの場面で必ずお役に立つ商品であると自負しております。
「新しく開発した骨盤ベルト付パンツについて、知財保護を図りたいが、どうしたらいいか?」との電話相談を受けたのがきっかけです。
「医療現場の看護師が考案された骨盤ベルト付パンツについて、特許権者から特許第5747404号(基本特許)の実施許諾を受け、数々の改良を施しながら商品化にこぎつけました。特許権と商標権は取得済みであるが、更に、知財保護を図るにはどうしたらいいか、他者権利も心配。」との相談であり、企業訪問し、基本特許の有効性、改良箇所の知財保護、製法等のノウハウ秘匿、特許情報プラットフォームによる先行技術調査、などについてアドバイスしました。
その後、弁理士に相談し、調査抽出した他者権利に本商品が抵触しないこと、及び本商品が基本特許で保護可能なことを確認するとともに、改良箇所の特許性はやや低いと思われたことから意匠出願により形状を保護されることを勧めました。そして、出願の仕方等について支援し、男性用と女性用それぞれの意匠出願を完了されました。
さらに、本新商品の拡販を図るために、社長の強い要望もありブランド専門家の派遣も行っております。
特許の実施許諾を受けたことからも分かるように、同社社長は元々知財に関しては関心が深く、本商品の開発にあたっても並々ならぬ熱意がありますが、今回の支援を通じて知財の効果的な使い方について再認識されたと思います。本件の支援を始めたのは平成28年11月からですが、本商品の販売開始予定が平成29年1月という極めて短い期間の中で、知財上の各課題に対して確実かつスピーディーに対応されたことからも、社長をはじめ従業員の知財意識の向上が伺えます。
知財総合支援窓口の方々には事前の特許調査から意匠出願までの広範囲に亘りご支援頂き、安心して本商品の販売を開始することができ大変感謝しています。また、今後も新しい商品に取り組んでいく際には、無知であった「知財保護」の観点からの相談をお願いし、安心してものづくりに専念したいと思っております。
「ペルファイン」は私も試着させて頂いておりますが、私の場合、特に睡眠時の腰痛軽減効果が気に入っています。素晴らしい商品ですが、他社の類似商品も多い中で、今後は、更にブランディングの支援に注力させて頂き、本商品の販路開拓と拡販の手助けになればと思います。 (野坂 晃)
はく骨盤バランスサポーター「ペルファイン」の開発と知財保護(151.6 KB)
掲載年月日:2017年6月12日