南極海において“オキアミ”は生態系全体に大きな影響を及ぼす重要なキーストーン種です。当社は、その重要な天然資源である“オキアミ”の日本唯一の総合メーカーであり、日々良い製品の安定供給と、質の高いサービスを提供することを目標に業務を行っています。
当社は“オキアミ”を通じて釣りエサだけではなく、穏やかな暮らしを作る企業として、創業50年来培ってきた当社独自の技術により、捕獲にはじまり冷凍・輸送・製造加工まで、徹底した品質管理で最良のものをお届けします。
当社の主要事業の一つであるフィッシング・レジャー事業では、釣り人がもとめるニーズに応えるよう製品開発に取り組んでいます。お客様の声や釣りに係る皆様からいただいた意見を大切にしながら、自然にやさしく、釣りがもっと楽しくなるような製品を日々、試行錯誤しています。
冷凍庫でも凍らない「不凍ツケエサ」の代名詞、「生イキくん」(商標登録第4136645号)は当社の人気シリーズです。この商品は、独自の南極トロール船で捕獲したオキアミの中でも、最高鮮度のものを厳選して加工した不凍タイプのツケエサです。使い勝手も良い便利な2分割できるツインパックを採用。様々な釣りのシーンで幅広く使えます。
同社は本格的に海外へのビジネス展開を検討している時期でした。中国等では商品パッケージの模倣や商標の冒認出願による被害が報じられていることから、日本国内での商標登録と、それを基にした海外出願を戦略的に企画・実行していく必要があると危機感を持たれ、相談に来られました。
必要な商標を抜けなく効果的に出願するためのしくみ作りを行いたい、というのが最初の相談でした。商品開発のプロセスに商標検討を入れるためには、商品企画段階から検討を始めること、またそれを社内規定に盛り込む必要があります。そこで知財(商標)戦略に詳しい弁理士を専門家として派遣し、同社の規模・組織の特性に合った商品企画規定と商品企画書を提案し、運用についてアドバイスをしました。
今後事業展開を予定している国々へ商標を出願するための戦略策定について、引き続き専門家(弁理士)を派遣して支援を行いました。中小企業等外国出願支援事業を利用することを提案し、さらに効果的・効率的な出願をするために他社の出願状況・出願戦略を調査して参考にするとともに、自社の品揃えとブランド体系を整理し、それらを基に商標外国出願の戦略を策定しました。
その後、同社は主要な3つの商標を3~6か国・地域に出願されました。
これから生まれる新商品に前述の規定および企画書を適用していくことになりますが、今回の活動を通じて商品戦略と知財戦略を連動させるという意識が高まったと感じます。
同社はこれまでにユニークな商品を数多く開発しています。知的財産に関する意識が高まった結果、商標だけでなく特許出願に対する意識も強くなったと思われます。
商品・サービスの企画・開発と知的財産の保護・活用は事業を発展させるための両輪です。二つの輪を同時に確実に回すことは中小企業にとって大変なことですが、窓口担当者が専門家と連携して知的財産面での支援をしてくれるので負担を減らすことができます。ぜひご活用いただくことをお奨めします。
オキアミは大きな事業性を秘めた天然資源だと感じました。
新しい事業あるいは商品を開発・改良する中で商標だけでなく特許やノウハウもたくさん生まれてくると思われます。今後も微力ながら知財面でのお手伝いをさせていただければと思います。
(武内 洋介)
商標出願の仕組みづくりと海外出願戦略策定に関する支援(266.8 KB)
掲載年月日:2017年7月19日