当社は屋根工事、外装工事、リフォーム等の建築業を本業としておりますが、最近の農林業への野生動物による被害を軽減したいとの強い思いから、害獣罠づくり捕獲研究所を立ち上げ、四国地域野生鳥獣ネットワーク会員となり活動しています。
建築業で培った製造技術を生かし、イノシシ、シカ、サル等の害獣を捕獲するくくり罠の開発・製造・販売を主とし、大型・小型の箱罠の受注生産も受け賜っております。
社長自身が狩猟を趣味とする狩猟者でイノシシ、シカの多数の捕獲経験を有しており、自身のノウハウを活かしてくくり罠、箱罠等を開発し、当社内で製品の製造、試験使用、評価のサイクル全てを実施し、使いやすく捕獲率の高い製品を製造できるのが強みです。これまでに独自の機能を取り入れたくくり罠で特許、実用新案4件を出願、登録しています。
また、害獣捕獲関連事業を企画立案すると共に、農林業者、狩猟者等への支援として、各種罠の設置方法の実技講習会を自治体、団体等で積極的に実施すると共に、購入者にはアンケート調査を行うなど、需要者と緊密な関係を有しています。
≪サル用立仕掛けくくり罠≫
くくり罠はイノシシ、シカ等の足首よりも足の大きい有蹄動物の足をくくる罠として開発されたものですが、この常識を破り、有蹄動物以外、特に農作物被害の大きいサルやアライグマ等の手を使う動物用として開発した、日本で初めてのくくり罠です。既に設置テストを実施してサルの捕獲に成功しており有効性を確認済です。
このくくり罠は罠一式が木台にセットされており、立木やフェンス等に木台を固定しエサを投入するだけで、極めて設置作業が簡単です。しかも、犬や子供の手の届かない高い所に設置できるので、安全性に優れています。
本業での特許取得では代理人に依頼し思わぬほど費用が嵩んだとのことで、狩猟罠関係での特許取得は出来れば自分達で出願したいとの思いから、相談に来られました。
産業財産権については知見をお持ちでなかったため、特許・実用新案の概要、登録されるために最低限必要な条件等を説明しました。狩猟経験で日頃感じておられる課題、アイディア等は豊富なので、特許出願するために具体化するように助言しました。不安をお持ちでしたがやる気と根気があれば同社でも十分に出願可能であると激励しました。
アイディアの具体化について技術的アドバイス、アイディア創出から出願までの基本手順、先行技術調査方法と結果の見方・活用方法、特許願の記載方法などを一つ一つ丁寧に説明しました。また、小規模企業の軽減措置利用、早期審査や口座振替、自動納付制度など各種の特許庁施策の活用、工業技術センターでの罠の動作試験と支援を続けました。特許登録後はカタログ作成、新聞・雑誌広告、インターネット、自治体の活用等により、特許権を使った商品の周知度向上等の相談も実施しています。
特許登録されたイノシシ、シカ用のくくり罠を今年の徳島県発明協会主催の発明工夫展に出品し、徳島県知事賞を受賞しました。
開発商品が特許登録されたことから商品に自信を持ち、製品の周知・販売に特許権を活用されています。また、自治体、農林業従事者、狩猟従事者と親交を深め、市場で要望されている製品を察知し、PDCAにより、より良い製品と新製品の開発に努めています。
1.特許、実用新案、意匠、商標等について知らなくても窓口を訪問すれば、それぞれの違いや取得方法、活用方法等を一つ一つ丁寧に教えて貰えます。また、特許庁以外の国、自治体等の各種支援施策も紹介して貰え、経営活動の糧に成り、窓口を訪問して損をすることは有りません。
2.些細なアイディアでも恥ずかしがることはありません。相談事項は秘密で、窓口で相談していると一緒に考えてもらえ、技術的なアドバイスも貰えます。新しい構想も浮かんでアイディアを成長させることができる事もあります。
製品は構造、構成とも簡単に真似できるので、特許取得により権利が守られ、PRにも活用できることを実感されています。同社は購入者の声を大事にされ、常により良い製品へと改善されています。新製品にも挑戦されていますので、売れる製品化に向けて継続して支援していきたいと考えています。 (松本正市)
サル用 立仕掛けくくり罠(241.6 KB)
掲載年月日:2017年7月13日