当社はルアー(疑似餌)釣り竿などの釣り用品の企画、開発、販売を行っています。創業当初からトラウト(鱒)、それもエリアフィッシング(管理釣り場)関連市場向け商品をビジネスの核と位置づけ展開してきました。その後、ソルトウォーターのルアーフィッシングジャンルにも進出し、2015年末からはブラックバスルアーブランド「UNIBASS」を立ち上げました。
男性ばかりの釣り具業界で唯一、女性が創立し女性だけで経営、営業を続けております。
当社の強みは、「実戦経験に裏打ちされた商品開発」を行っていることです。経営者は女性アングラーの先駆けとして業界に長年従事しており、またアマゾン、メキシコ、アメリカなど、世界中を釣り歩いていることから、その豊富な経験値を土台に、商品を企画してきました。試作品を徹底的にフィールドテストし、納得できたものだけを商品化しています。
女性の視点で開発を行っている製品も多く、初心者や女性、子供を対象とした商品アイテムもいち早く開発しております。
当社の一押し商品は「シャラポロ」と言うバズベイト(ブラックバス用)です。このルアーは水面で操作して魚を誘うため、魚が水面を飛び出し喰いつく瞬間が見え、とてもスリリングな釣りを楽しめます。このルアーには、金属ペラの音、ペラが水を噛んで発生する音、引き波など魚の捕食スイッチを入れる要素がふんだんに盛り込まれており、これを実現する構造で特許出願を行い権利取得する事が出来ました。現在釣りのプロとして活躍されていて、バズベイトが得意としている方からも是非使いたいと申し出を受けています。
同社は、ルアー(疑似餌)釣り用品のメーカーで、これまでも実用新案、意匠、商標等の産業財産権活用で窓口をご利用いただいておりました。今回、新たなジャンルへの参入を計画され、産業財産権活用を目指したいということで、ご相談いただきました。
「新しいルアーを開発した。新規ジャンルであり、産業財産権で保護された商品での参入を目指したいが、特許権等取得の可能性はあるだろうか?」というのが最初のご相談でした。
特許及び意匠権の活用を視野に検討を行い、先行技術調査方法等を指導しました。先行技術調査の結果、影響を受けると思われる先行技術は見出されませんでした。検討の結果、本発明は特許権取得を目指すことにしましたが、相談者の発明は極めて限定されており、例え権利化できたとしても、そのままでは他者が容易に権利回避をすることが可能と考えられるものでした。そこで、強い特許にするべく、発明の本質はどこにあるのか、同じ着眼点を別の切り口でも達成できないか等を相談者と検討しました。方向性が固まった段階で、専門家(弁理士)による支援を受けていただきました。その後、相談者は代理人を通じて特許出願を実施し、早期審査制度も活用され、見事登録査定となりました。特許製品は市場評価も高く、今後事業拡大に貢献することが期待されます。
今回、「特許出願を検討する際には、どういうことを考えなければいけないか」「いかにして強い特許にするか」という基本的な取組みを経験していただけましたので、商品開発における戦略的な産業財産権の活用スキルが蓄積されたことと思います。
私は過去に苦い経験があります。私が考案し、販売していた製品と類似する製品を真似て販売する会社が現れ、しかも相手は特許出願をされていたため、あたかもこちらが真似をしたように思われてしまい、とても悔しい思いをしました。以来、製品作りには慎重になり、同様のものが存在しないか確認し、大事にしたい商品は産業財産権申請をして真似されないようにする、ということを肝に命じました。しかし非常にハードルが高いことも事実です。
今回、縁があってこちらの窓口を利用させて頂き、小さな会社でも、知識が無くても、特許取得にたどりつけると言う事を知りました。些細なことでも悩んでいたら、是非足を運んでみて下さい。分かり易く、等身大で相談に乗って頂けます。
今回、特許権を取得された製品は、同社の商品開発にかけるこだわりが結実したものです。この経験を糧に、これからも産業財産権を事業推進の原動力として、積極的にご活用いただけることを期待しています。 (中村 宏之)
ルアーの特許出願支援(410.4 KB)
掲載年月日:2017年8月 7日