当社は、リサイクル性の良い非鉄金属(アルミ)製造業で、アルミダイカスト鋳造及び開発品の製造販売をしています。ダイカスト部門では、1985年の創業以来、自動車部品を主に小物から大物(0.5~1.8kg)までの幅広い精密及び精密部品のダイカスト鋳造を行っています。
当社の経営理念であります「明るく・元気に・前向きなエスワイ精機は、お客様と共に成長・発展し、共に幸せになり、共に社会に貢献します」をモットーとして、より一層頑張ってまいります。
ダイカスト部門では、自社開発の溶湯フィルターを使用し、溶湯中に含まれる酸化物を除去することにより、薄肉・高強度製品の生産が可能になりました。
開発部門では、自動車メーカー指定の金型部品を製造するほか、ダイカスト工場向け消耗品(特許取得済み)の製造・開発も行っており、他工場様にもご信頼いただき、安心して使用していただける部品を提供しております。
当社は独自の技術開発により、精度の高い製品の供給を可能にしています。
今回、開発・販売を開始した点眼補助具は、金型の製造技術を生かした製品であり、山梨大学医学部との共同研究を行いました。目薬をセットし、ホルダーを目の周囲に当て、指や手のひらでレバーを軽く一握りすると、1滴落ちる仕組みになっています。高齢化社会を踏まえ、眼科医療を成長分野に見込んでいて、製薬会社や介護施設等への販売を見込んでいます。
同社は創業以来、溶かした金属を金型に高圧で流し込む鋳造法「ダイカスト」を主要技術とし、自動車部品等を多く扱っていました。しかしながら、海外勢との競争もあり下請けは厳しいとのご判断から、新しい分野での自社製品開発に挑まれ、経営の安定化を図ることとされました。同社は山梨県医療機器開発促進事業に採択され、やまなし産業支援機構新事業創造課を介して連携案件として窓口を活用されるようになりました。
同社は、金型の製造技術を生かした新規商品として、点眼補助具の開発を開始されました。当初は作図により構成の検討をされ、試行錯誤のうえ知財権取得の要件を確立されました。材質の選定、各パーツのサイズを検討され試作品を完成されました。事業化が見込めると判断されると共に、知財保護として特許出願を検討されました。
その後、出願に向けて新技術の内容を検討した結果、既存の点眼補助具とは異なり複数の目薬に対応できる構成を確立し、適量をうまく出せるという課題を克服されました。当窓口として、知財専門家の派遣指導にて特許出願の支援を行いました。
従来製品に拘らずアイデアを出し、新製品・新技術を意欲的に開発され、これを知財権で保護し活用していくという意識を持たれるようになりました。また、積極的な製品PRにより、山梨日日新聞に掲載される等注目を浴びました。さらに、山梨テクノメッセ2016に出展されるなど、産業支援機構との連携から販路開拓も意欲的に行われています。
新開発製品に関する特許出願については、知財総合支援窓口のご支援によりスムーズに行うことができました。また、知財権の活用について知識を得ることができました。今後も窓口のご支援を受けることにより、知的財産の活用・保護等について積極的に取り組む所存です。
同社は、新規開発に対する意欲を待たれた企業であり、知財権を生かす試みを持たれています。本件に関しても商標権の取得も視野に入れておられます。今後も企業経営を活かす知的財産に関するご支援を継続していきたいと思います。 (荒川 修一)
点眼補助具の特許出願支援(230.2 KB)
掲載年月日:2017年8月22日