当社は、仙台市の北に隣接する大和町を拠点とする、2014年に起業したばかりの企業です。創業者が永年に亘って構想・開発してきた、手動で運転可能で、コンパクトな袋詰め包装機の製造・販売をしています。
当社の袋詰め包装機は、独自の構造により、装置に付属するベルトの上に整列した、例えば魚の切り身を、その配置状態を変えることなく、そのまま袋に詰めることができる機能を備えています。
その構造については、特許第5856229号として、特許取得済です。
当社は、特許取得後も、さらに装置のコンパクト化や低コスト化を検討し、SH-1型(標準型)を開発致しました。これはボトムベースの上をスライド板がスライドしますので、スライド板の保持が不要で、袋の差し込みに両手が使えるので作業が楽になります。また、この仕様についても、特許出願済で、下記URLに動作説明のための映像を掲載しています。
https://www.youtube.com/watch?v=lu2KX2rZTaA
同社は、前記の製品開発を行う過程で、製品を公開することで、その構造を模倣される可能性があるため、製品の完成前に、特許出願または実用新案登録出願することを検討していたところ、公的な支援機関として、知財総合支援窓口があることを知り、出願に関する手続きについて説明を受けるために窓口へ相談に来訪しました。
窓口に持ち込まれた試作品を参照しながら、相談者から技術内容の説明を受け、これに対し、特許要件としての新規性の重要性と、これを確認するための先行技術調査方法を説明しました。また、特許の出願手続や、拒絶理由通知に対する助言を行うことにより、特許第5856229号として、登録に至りました。
同社は、当該特許に係る製品のマーケティングを行いながら、需要者の意見を参考にして、さらに小型化・低コスト化を目的に改良に取り組んできました。結果、当初の出願内容に数点の追加すべき事項が生じたので、追加特許出願の要否について相談を受けました。相談の結果、防衛として特許出願した方がよい旨を助言し、2016年9月、当初の特許出願に、新規事項を追加した内容の特許出願を支援しました。
同社は、特許出願から登録までの実務について知ることができ、その後も取り組んでいる技術を、どのように産業財産権で保護するか常に意識しながら、業務に携わるようになりました。
産業財産権を常に意識しておくことは、自社技術を守るだけでなく、他者の権利侵害を未然に防ぐ意味でも重要です。知財に関わることで、気になることがあれば、気軽に知財総合支援窓口に、ご相談されることを推奨します。
同社の場合は、特許出願に関する支援でしたが、知財総合支援窓口は、商品のデザインやブランド化、海外展開など、様々な支援メニューを用意し、相談内容によっては、弁理士・弁護士などへの無料相談にも対応していますので、気軽にお声掛けください。 (片平 忠夫)
袋詰装置の権利化の支援(233.3 KB)
掲載年月日:2017年9月 4日