当社はスーツケースをメインに旅行用品の商品開発及び販売をしております。販売経路は主にネット販売となっており、価格競争からの脱却を狙い当社オリジナルの商品開発をしております。
また、当社では小規模ながら商品企画から製品開発、製造に至る一連の作業を社内で行い、品質保証に努めております。
当社は設立間もない会社ですが、元々スーツケース業界に10年以上携わった経験があり、その経験を踏まえ丈夫で使いやすく、お客様目線での商品開発、企画をして当社指定工場で製造しております。今回の支援を通じてセキュリティ面を強化したロックシステム、シークレットマルチポケット等の特許を取得し、他社スーツケースとの差別化を図っております。
当社イチ押し商品は「ミレニアファスナー スーツケース」です。軽量かつ強靭なボディで、機内持ち込み可能な規格の最大サイズで作られています。また、株式会社日乃本錠前様と企画した、同社ブランドHINOMOTO製キャスター「SILENT RUN(サイレントラン)」への取り換えも可能で、さらには、今回の支援を通じて特許出願を行うことができた「シークレットマルチポケット」も装備しており、初めてスーツケースを使用される方からヘビーユーザーまで、幅広く支持を受けております。
同社が以前からご相談されている公益財団法人佐賀県地域産業支援センターのご担当者に、特許出願の方法について問い合わせをされ、当窓口をご紹介いただいたことがきっかけです。
当窓口担当者による情報収集・整理を行った後、専門家(弁理士)を活用した本格的な支援に入り、その結果、特許、意匠、商標登録出願を行うに至りました。
最初の相談は、スーツケースの新たな鍵構造について特許出願を行いたい、というものでした。本件相談にあたっては、まず窓口担当者から特許制度の概要(出願手続きの流れ、特許要件)を説明し、その後、専門家(弁理士)から実務的な指導(先行技術調査、出願書類の作成等の支援)を行いました。相談対応時に留意した点は、出願書類作成において、発明の内容を言葉(文章)で表現する必要がある点、また、その記載が特許権の範囲に大きく寄与する点を、相談者に理解してもらうことでした。
上述したスーツケースの鍵構造について特許出願が完了後には、ポケット部分の新規構造「シークレットマルチポケット」に関する特許出願、及び、これらの新規構造を備えるスーツケースの商品名について商標登録出願、並びに、スーツケースのアクセサリについて意匠登録出願を行いました。このように、新たな創作がなされる度に、知財マネジメントにおけるオープン&クローズ戦略の検討を行い、必要があると判断したものについては、各種出願を行いました。
支援の回数を経るにつれて、幅広い視点からより適切な保護手段を、専門家と相談しながら選択されるようになりました。当初は、例えば、特許についてのみ検討を行っていましたが、専門家による知財支援を受けることで特許(実用新案)、意匠、商標の特徴を理解されるようになり、特許化が難しいものについても、斬新な構造であれば、意匠で出願を検討するようになりました。
今回ご縁がありご相談させて頂きましたが、専門家の方が素人の我々にとてもわかりやすくご説明くださり、無事商標登録そして特許取得まで出来ました。専門知識が全くなくても諦めることはなく、まずは窓口へ相談されることをお勧めいたします。
スーツケースの分野では、飛行機内への持ち込み可能なサイズの規格等の制約が多い中、同社では日頃より顧客の利便性を追求し、鋭意研究を重ねております。かかる企業努力は、他社との差別化を生む一方、模倣・盗用の対象となります。そのため、今後も継続的に経過確認を行い、新たな創作についても、今回同様に適切に保護していけるよう、支援して参ります。 (立石 朋裕)
特許、意匠、商標の出願支援(商標「MAX LIGHT」(登録5944322)ほか)(405.4 KB)
掲載年月日:2017年11月10日