当社は、出雲大社で有名な出雲市内で、パンの製造・販売を行っている会社です。昭和24年創業で、菓子パンや食パン、惣菜パンをはじめ、学校給食用のパンなどさまざまなパンを製造・販売しています。
当社のパンは、全て手作りです。手間暇掛かりますが、社員一同、皆さまに美味しいと言ってもらいたい一心で日々頑張っています。パンのアイテム数は総計150~200、中には国産小麦を用いた無添加のパンも生協等に提供しています。また、出雲地域で移動販売も行っています。地域の人々に親しまれ、美味しいと評判の自慢のパンを提供しています。
バラの花をモチーフにした「バラパン」(商標登録第5722875号)は、昭和29年販売の発売60年を超える超ロングセラー商品です。地元では誰にでも愛されている“ご当地パン”であり、各種メディアでも度々紹介されています。出雲市内のスーパーではどこでも販売していますので、出雲大社にいらした際には是非ご賞味下さい。
平成25年の出雲大社の遷宮に併せて新商品の販売を計画した際に、出雲推奨商品認定委員会が認定した商品を紹介するガイドブック「おいしい出雲」への掲載を申請したところ、ガイドブックを作成するNPO法人21世紀出雲産業支援センターから、類似商標等の問題がないか知財総合支援窓口への相談を勧められたことがきっかけです。
縁結びの神様である出雲大社にあやかり、「縁結び」に係る商標が数多く権利化されていますが、相談商標もこれに関連する商標であったため、類似登録商標の存在や、商標トラブルも生じている状況を説明し、商標使用を中止頂きました。このときに、地元で愛されている「バラパン」こそ、商標保護すべきと薦め、商標登録出願を支援しました。そして、無事に登録の運びとなり、大変喜んで頂きました。
同じ地域内で「バラパン」の模倣品販売があったことから、弁理士と伴に模倣対策の助言を行い、同社から先方企業へ警告書を発し、使用を食い止めることができました。また周辺地域でも模倣品販売が見つかり、同様に警告を発したところ、先方弁護士から商標問題はない旨の回答がありましたが、再度弁理士の助言を基に同社が対応した結果、無事に使用を食い止めることができました。
同社は、当初、知財そのものの意識も高くない状態でしたが、自社の主要商品の知財保護を契機に、他社の模倣を2件中止させることができ、知財の重要性を認識頂いた点は大きな成果と思います。その後、著作権相談なども含めて、知財総合支援窓口を利用頂くようになりました。
この何十年間、自慢の「バラパン」を生産販売し、メディアにも取り上げられる程になりましたが、模倣品もあり困っていました。商標権を活用して、この問題を解消し安心して販売できるようになり、大変良かったと思います。皆さんの会社でも、何か困っていることがあれば知財総合支援窓口に気軽に相談してみてください。
商標相談から、主力商品の知財保護、更には模倣品対策も解決でき、大きな成果が得られました。同社の「バラパン」は、小さい頃から知っているソウルフードであり、更に全国に広まるよう期待しています。今後もブランド化に向けた各施策などを活用しつつ支援したいと思います。 (福代 功一)
ご当地パンの模倣品対策支援(672.4 KB)
掲載年月日:2017年12月 4日
更新年月日:2022年8月17日