当社は、各種制御機器(産業用、医療、センサー等)、建築金物等の精密板金部品の設計・製造を行う松原市の企業です。創業以来80年間、1個2個の単品物から数千個の量産品まで、制御機器から精密金物まで幅広く、精密板金を主として事業展開してきました。また、最新の板金設備の拡充を図り、短納期、高品質、低価格を実現し、お客様のご要望にお応えしてきました。これからも技術の向上に取り組みつつ、お客様のご要望に沿う製品のご提供に努めて参ります。健康やエコロジーへの関心が高まる中で、スポーツとしての自転車が注目されるようになってきました。そんな背景の中で、当社のクラフトマン集団は、新規事業として、世界最小の折りたたみ自転車の開発製造販売に挑戦しています。
当社では、主に試作品及び単品・少ロットの精密板金を事業内容としており、取り扱い製品は制御装置や各検査装置・各種盤・BOX・コンピュータ関連等多種多様にわたっています。お客様のご要望にお応えするため、短期納品・低コスト・高品質を目指し日々努めています。大きなものから小さなものまでというのが当社のモットーです。生産ロットは少・中ロット(1個から数千個)、納期・品質・価格ともにご要望にお応えする事ができます。
当社は、「小さく」「軽く」「走りやすく」そして「折りたたみが簡単」な、本当の意味での『折りたたみ』自転車の実現に挑戦します。まずはそのマイルストーンとして、20インチタイヤの幅からはみ出さないという、驚異の折りたたみサイズを実現した「CARACLE-S」を世に送り出しました。折りたたみサイズは世界最小です。特許技術(特許第5181069号)で65×48×33cmの折りたたみサイズを実現しています。折りたたみ作業も慣れれば10秒で可能なので、公共交通機関で持ち歩くのもラクラクです。単に体積が小さいだけでなく、20インチ車輪幅からはみ出さない縦長形状も特徴で、市販スーツケースに入れて飛行機に載せることができるので、海外旅行に持ち出すのも簡単です。
同社は、主事業である「精密板金」とは別に、新事業として折りたたみ自転車を開発されています。このたび、世界最小の折りたたみ自転車「CARACLEーS」の開発にあたり、中国企業との製造に関する契約について支援してほしいとのご連絡がありました。同社から、折りたたみ自転車の海外製造委託について支援要請がありました。
上記の依頼を受け、まず同社を訪問し、詳しい状況をヒアリングしました。その上で、INPIT海外知財プロデューサーを派遣して、海外企業に製造委託する場合のリスク管理と対策について支援し、続いて、海外契約の専門家である海外知財専門家(弁護士)を派遣して、中国企業の製造に関する契約書の作成を支援しました。この世界最小の折りたたみ自転車「CARACLEーS」は、高精度な加工技術を駆使し、2015年から国内で販売され、高い評価を得ております。また、海外からも多数の引き合いがあります。
折りたたみ自転車は、台湾、欧米の企業が、世界の殆どのシェアを占めています。なかでも台湾には巨大な自転車メーカーがありますので、台湾にて知的財産権を取得したいとの要望があり、世界最小の折りたたみ自転車「CARACLEーS」について、台湾での意匠権の取得を支援しました。
また、同社から、日本の伝統技術「絡繰り人形」の「カラクリ」から考えられた自社ブランド「CARACLE」を世界に広げたいとの要望があり、国際商標の専門家(弁理士)を派遣して、国際商標登録出願を支援しました。さらに、同社の次期の折りたたみ自転車の新製品についてPCT国際出願を支援しました。
同社は、世界の折りたたみ自転車の最新情報を収集され、他社特許をよく調査され、知的財産権の重要性をよく理解されています。特許出願の支援の中で、他社特許の技術範囲、抵触性などについて議論し、知的財産権の効力・活用方法についても理解されるようになりました。
また、自社の新事業である「世界最小の折りたたみ自転車」を世界に展開するためには、グローバルでの知的財産権の取得の重要性を感じられ、日本出願を基礎にせず、直接PCT国際出願をされるようになりました。
知財総合支援窓口では、中小企業が抱える知的財産権に関する、どんな小さな課題も熱心に聴いて頂き、ユーザー視点に立ったきめ細かい支援をワンストップで対応して頂けます。特許の専門家(弁理士)を派遣して、発明の特定、特許の技術的範囲、特許出願戦略についても支援して頂けると共に、知的財産を中心に事業戦略、海外展開など、各分野の専門家と窓口支援担当者とが協働して、幅広く支援して頂けます。
自転車は、台湾、欧米の企業が世界で殆どのシェアを占めている中で、同社は、日本の伝統技術「絡繰り人形」の細やかな技術を活かして、世界最小の折りたたみ自転車を商品化されました。このたび、その権利化について支援させて頂き嬉しく思います。自転車の製造が海外にシフトしていますが、同社の「MADE IN JAPAN」の折りたたみ自転車の挑戦が、世界に展開できるように、引き続き支援していきます。 (大野 健造)
世界最小20インチ折たたみ自転車の事業戦略と知財戦略(985.9 KB)
掲載年月日:2018年2月26日
更新年月日:2023年8月28日