当社は創業以来、遊技機関連部品の開発から製造までを主な業務として行っております。開発部門としてデザイン・製品設計・電気回路設計・試作品の製作を、製造部門では一部外注を含みますが、金型の製作から成形加工・加飾加工・組立てまでを営業・開発・製造の一貫したシステムにて業務を行っております。
昨今は遊技機業界の先行きを考慮し、遊技機業界で培った技術やノウハウを活用した新事業に着手し、10年ほど前から道路保安関連商品の新商品開発をスタートさせました。現在は、中部地区を中心に産業財産権を取得した当社オリジナルの商品を販売展開しております。
今まで培ってきた各種ノウハウと課題解決力が当社の強みです。例えば、従来の工事帯では、保安用コーンの先端部分にランプを取り付けるタイプの保安灯が一般的ですが、視認性の面で他の電飾(車のテールランプ等)と混同し易く、遠方から工事帯を認識するのに紛らわしい等の課題がありました。当社はそのような課題を解決するため、既存のコーンに被せるだけでコーンの形状に沿ってLEDが点滅するコーンカバー商品名「ぴっカバー」(特許第5846619号、意匠登録第1544528号、商標登録第5834278号)を開発致しました。単3乾電池4本で約100時間以上稼働し、照度センサー付きで、裏面のマジックテープにより、ほとんどのコーンに装着可能になっています。
また、当社はガードレール周辺の雑草対策・支柱の防錆対策として、防草支柱保護カバー商品名「ダブルテクトS&G」(特許第6224789号、意匠登録第1561754号、商標登録第5835633号)を開発いたしました。
効果①.草刈機によるガードレールの支柱への接触、傷を防ぐ
効果②.支柱周りの草を生やさないため、除草効率が上がる
効果③.ペット等のし尿から支柱を保護して、腐食を防ぐ
以上のような、一石三鳥の効果を考えて開発した商品です。また、素材は遊技機部品の製造時に出る廃棄材料をリサイクルして使用するため、環境にも優しい商品であり、現在は中部地区を中心に各都道府県へ向けて精力的な営業活動を行っております。
同社は遊技機関連部品の受注生産が主な事業であり、今までは特許等を含めて戦略的に知財を活用する必要性がありませんでした。この度、同社がオリジナルの開発商品を販売する上で相談した道路関連保安用品を開発している旧知の企業からの紹介がきっかけとなり、知財総合支援窓口(名駅窓口)を利用することとなりました。窓口担当者が同社を訪問し、特許・意匠・商標の権利取得や戦略的な知財の活用方法等をアドバイスして行くことになりました。
同社はガートレール周辺の雑草対策・支柱の防錆対策として「防草支柱カバー」を考案し、遊技機関連部品の廃材を有効活用できる一石三鳥にもなる商品であることから、形状、構造などの検討を重ね、また、大学教授である当窓口の知財専門家も交えて改良品を完成されました。産業財産権取得の必要性や重要性を説明し、専門家(弁理士)の支援も受けつつ特許出願を目指すことになりました。その後、意匠登録出願、商標登録出願を行い、商品名「ダブルテクトS&G」として開発商品の売上増への期待も高まっています。
同社は現在もオリジナル商品の開発を継続的に行っており、特許出願、併せて意匠登録出願、商標登録出願を行い、早期審査等を活用して特許、意匠、商標の権利取得となりました。国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)登録も併せて進めています。
また、現在は、「安心・安全」をテーマに災害時の標識支柱倒れ防止商品「要芯棒」や、コロナ禍における社会的ニーズを反映した新商品について特許を出願し、重点支援にも採択されて事業戦略策定等に知的財産を重要視するようになりました。さらには、自動車部品製造に乗り出す事業があり、ISO認証に関する支援を行っている機関(一般社団法人中部産業連盟)を紹介しました。
受注生産が主な事業であった同社が、オリジナル商品を開発し販売する上で、産業財産権の重要性が社長をはじめ社内全体に深まったことと、事業に応じて知財を戦略的に活用することにより、商品に非常に大きな付加価値が生まれることを実感して頂きました。また、特許庁施策である審査請求料等軽減制度に関する情報を提供し、より知財に関する運用が活性化しました。
オリジナル商品を開発するまで、知財に関して全く知識を持たなかった当社が、約3年という短い期間で特許権・意匠権・商標権等を7件も権利化し、知財戦略の活用法を教えていただいたことで、商品だけでなく会社にも付加価値をつけることが出来ました。知財総合支援窓口の担当者や専門家の先生方は気さくに何でもご相談できる方ばかりで、分からないことは全て懇切丁寧にご指導いただけますので、先ずは気軽に窓口へご相談いただくことをお勧め致します。
これから益々経営環境が厳しくなる世の中で、受注待ち体質からの脱却などを目指して新事業へ挑戦し、知的財産を活用することにより、大手企業に対しても優位な知財戦略、経営戦略を駆使して、ビジネスに積極的に結びつけることができます。知財総合支援窓口を企業の身近な相談員として、大いに活用していただきたいと思います。 (井上 勝)
道路保安関連の新商品展開(621.1 KB)
掲載年月日:2018年3月 7日
更新年月日:2023年1月12日