当社は、5 本指ソックス・無縫製ニットの企画開発・製造・販売を行っている会社です。1981 年の創業以来、5本指靴下のパイオニアとして、 業界のリーディングカンパニーにふさわしい、一歩先行く「研究開発」「も のづくり」「販売」に邁進しています。5本指靴下は、1970年にスペインの企業が開発したのが始まりです。その後、現会長の井戸端隆宏が、手袋の製造技術を靴下に生かすことに着目。「人の身体にやさしいソックスを」 という思いから5本指ソックスを育て上げました。現在では、創業時の夢をはるかに超える、マーケットシェア8%程度まで成長しました。
当社の5本指ソックスには手作業でしかできない工程がいくつもあり、 技術者たちには熟練の技と集中力が求められます。技術者たちがその能力を最大限に発揮するために、工場には太陽光照明を導入。明るく清潔な働きやすい環境のなかで、熟練の技術者たちがそれぞれの工程を丹念に仕上げていきます。
また、工場内は空調により温度と湿度を厳密に管理。高品質な製品を安定して製造できる体制が整っています。購入されるお客様をイメージしながら、使われる場面を思い描きながら、まるで自分の子どもを送り出すように、誇りと愛着をもって製品をお届けしています。
靴下とは「足指を包むもの」という発想。その結果、数々の特許技術を取得し、完全無縫製横編機による世界初の「3次元Rゆびソックス」を実現させました。糸の素材や製法においても妥協せず、徹底して履きやすさ・ 履き心地を追求するため、あえて機械化できない手作業を製造工程に組み込んでいます。手間を厭わず、さらに熟練を要するいくつもの製造工程を経ることで、世界品質の5本指ソックスが誕生しています。
新規に開発した5本指ソックスの編成技術に関し特許出願を検討したい旨、知財専門家(弁理士) 相談会へ同社社長と開発担当者にご参加いただきました。自社で調査された先行技術ならびに本件試作品を踏まえながら、知財専門家(弁理士)とともに本件発明の権利化ポイントや、秘匿化ポイントの検討を支援させていただきました。
特許出願の相談において、職務発明規程や営業秘密管理規程の整備化、外国出願費用助成等関連支援施策を紹介させていただきました。職務発明規程を未整備とのことで、平成27年度特許法改正の概要、整備化の意義のご説明とともに、それら規程の導入に当たっては、当窓口の知財専門家(弁理士)に相談することにより、最適な規程検討から完成まで支援できることをお伝えさせていただきました。
今回の法改正を機に職務発明規程を是非導入したい旨、整備化支援をご用命いただきました。導入支援に当たっては、職務発明の考え方、規程策定の意義や法改正のポイント、相当の利益の考え方について理解を深めていただきながら、同社実情に沿った職務発明規程策定まで、段階的に計3回法改正専門家を派遣するなど、支援をさせていただきました。
職務発明規程がなければ、会社は単に通常実施権を有するのみで特許権を保有できないことや、社内規則で相当の対価を決められないこと等のリスクの把握、職務発明規程導入により社内全体での発明意識の活性化等、内部効果とともに、研究開発に力を入れる企業として信頼度向上等、外部効果が生まれることをご理解いただき、策定に積極的に取り組んでいただきました。
従業員の発明のモチベーションを高めるため職務発明規程の整備化が必要と考えていたところ、今回の支援を案内していただき、早速活用いたしました。経験豊富な専門家に、職務発明の基礎知識からわかりやすい解説とともに自社の実情に沿った相当の利益の付与手続等、実践的なアドバイスをいただき、自社にマッチした職務発明規程を策定することができました。
同社は、多くの発明表彰受賞や社長様がグローバル知財戦略フォーラム 2017 のパネリストになっておられ知財意識が高く、本件も大変前向きに取り組んでいただきました。 ますますの研究開発の活性化を期待しております。
(佐薙 英明)
職務発明規定導入による社内活性化(191.3 KB)
掲載年月日:2018年7月 9日