当社は1989年に設立し、プリンターなどのOA機器を中心に、さまざまな精密機械の開発を請け負う設計事務所としてスタートし、大手メーカー製品の主要部品または製品全体を、設計開発から試作、ときには製造まで請け負ってきました。最近では、商品の企画を含めた製品のトータル的な開発設計と自社製品の開発にも力を入れ、車載プリンター、箔プリンター、スクリーン印刷の製版印刷複合機などを開発して製造販売しています。
新規のアイディアを形にする開発力をもつ経験豊富なスタッフが揃っており、新しい製品の提案、依頼先から求められる要望の解決、コストと機能を両立させるコストダウン設計などを得意としています。また、自社でカバーできない技術研究や技術開発を、専門技術のある会社に依頼できる人的ネットワークを構築しており、プリンター分野に限らず、幅広い分野に対応できるように情報網を有しています。
当社は常に量産を意識した丁寧な開発・設計を心掛け、試作品による実験・評価・性能及び使いやすさの確認を自社内で行う事が出来ます。
当社の一押し製品は箔プリンターです。その特徴は、時間とコストのかかる版の製作を不要とし、パソコンで作った文字・画像等をそのまま金・銀等のきらきら輝く箔で印刷できることです。
「箔工房PRO」と名付けた箔プリンターは、紙・クリアファイル・名刺やフォトブックなど、さまざまな印刷に使用されてご好評を頂いています。
また、ギフト用のリボンに印刷できる箔プリンター「箔工房for ribbon」は、花屋・ケーキ屋・ギフトショップの包装用リボンへの箔印刷で活躍しています。
当社は、インクジェットプリンターの新シリーズを発表しました。お菓子やクッキー、ケーキなどに印刷できるフードプリンターのMusasabi a4、卒塔婆のような長尺のものに印刷できるPropeller、ビンや水筒のような円筒形のものに印刷できるRoundJet、そして印刷するものの高さに合わせて印刷できるCraneJetです。今までプリンターで印刷できなかったようなものへの印刷を可能にするのが当社の新しいプリンターです。こんなものに印刷したいというご要望があれば、ぜひご相談いただきたいと思っています。
同社は、従前から特許事務所を利用して特許出願を行っていましたが、開発中の試作品の保護方法について、セカンドオピニオンを求めて知財総合支援窓口に来訪されました。
知財専門家(弁理士)を交えて、これまでの同社の出願内容を検証した結果、同社が抱える問題点が出願時の先行技術調査が不十分で有ること、保護すべき発明の特徴点の認識が甘く、記載内容が不十分で有ることが判明しました。そのため、権利化を目指す試作品については、先行技術調査及び発明の特徴点についての検討の段階から弁理士を活用することを助言しました。
その後、先行技術調査については先行技術の解釈を、発明の特徴点については特徴点の抽出から出願内容へ反映するまでを弁理士と共に支援しました。
その他、同社の製品カタログから商標として保護すべき表示を抽出すると共に、他人の登録商標を侵害する可能性があるかのチェックや、中国企業との契約に際し、弁護士による助言と取引契約書の翻訳支援、公益財団法人あいち産業機構が行う中小企業応援ファンドの紹介、並びに「営業秘密」の考え方についての相談等、様々な支援を実施しています。
相談企業の経営者は大手企業の製品設計経験を有する事から、知的財産の重要性をある程度認識していましたが、製品開発活動や営業活動と比較して、知財活動の優先度は高くありませんでした。しかし、これまでの特許出願が事前の検討が不十分であったことに加え、中国企業との契約を契機に、製品開発活動及び営業活動に加えて知財活動の重要性を再認識し、積極的に製品を保護する目的から知的財産専門家の活用を始め、社内組織として兼任ではありますが、知財担当者を設けるまでに至りました。
知財相談窓口は中小企業を支援する国の政策の一つとして推し進められている相談窓口事業であり、相談員(窓口担当者)は、知的財産制度に関する知識を有し、知的財産の重要性を深く認識した人達です。又その窓口を介して各種の専門家(弁理士・弁護士・中小企業診断士・工業デザイナー等)の支援も無料で受けることができる等、非常に効果的に活用できます。是非一度相談する事をお勧めします。
相談企業はプリンター市場におけるニッチなプリンターを開発し販売している会社ですが、エネルギッシュな社長を先頭に経験豊かな開発陣で構成され、常に前向きに製品開発に取り組んでいます。課題は、今後企業を継続させる「SEED」を見定めて育てる事であり、その為に知財面から支援できる事を望んでいます。 (上野 哲郎)
箔プリンター(503.7 KB)
掲載年月日:2018年8月 7日
更新年月日:2024年1月23日