当社は1982年の設立以来、時代とともに技術の進化や企業としての成長を遂げてきたと自負しています。設立当初は小さな取引が主でしたが、今では、製缶品を中心とした製造業において大手企業からの大型案件を手掛けるなど順調な事業活動を行っています。これもひとえに、取引先のご愛顧と、従業員の努力のたまものです。
今後も、目の前の仕事に一生懸命取り組み、技術開発し、精進します。
当社の強みは、大型集塵機などの大型製缶が受注できることです。また、小型中型の製缶も受注可能であり、短納期、小ロット対応など多種多様な製品作りと安心できる製造工程管理がセールスポイントです。35年の豊富な実績を活かして多方面のお客様のご要望に応えることができる技術力が強みです。
自社開発した溶接ビードカッターの「ダイコクビードカッター」(商標登録第6207518号、特許登録第6934266号、特許登録第700431号)です。
高層建築物の柱となる大径角形鋼管(コラム)の接続工程において、裏当て金具の差込の際に障害となる溶接ビード(溶接痕の盛り上がり)を切削除去するには、従来はグラインダーを使用した手作業で行っていましたが、この溶接ビードカッターの開発により、作業時間の短縮化(10分の1程度)、火花や鉄粉が出ず作業環境の改善、品質の均一化が可能となりました。また、熟練工でなくても安全に作業できる装置です。作業機は水平移動、垂直移動も可能であり、コラムを回転させる手間も省けるところも特徴です。
津山市産業支援センターの支援を受けて開発した発明品を知的財産権で保護し販売活動するよう津山市の担当者から助言され、当窓口に特許出願相談を行ったことから支援が開始しました。
ダイコクビードカッターは、高層建築物の柱である大径角形鋼管の接続工程にて、鋼管製造時に付着した溶接ビードを除去する作業機です。製品特徴は、作業時間を手作業の10分の1程度に短縮する省力化技術であったため、先行技術文献との相違点を検討し、特許出願書類の作成方法について助言を行いました。既存技術の組合せではと認識される単純な構造であり、進歩性が課題となる出願が予測され専門家(弁理士)の助言を受けるよう勧めました。
専門家(弁理士)を派遣し、試作品を確認し新規性、進歩性について検討および助言を行い、第1回目の特許出願に至りました。その後、改良技術の完成段階で、再び、専門家(弁理士)を活用して2回目の特許出願を行いました。更に、改良技術の試作機完成の段階で既出願との技術的な関係を確認したところ、改良特許出願で保護できない技術が含まれていることがわかり、新たな特許出願となりましたが、海外需要があることからPCT国際特許出願を行い国内外での権利化を図りました。何度も特許出願を行ったので費用負担が大きくなり、知的財産補助金制度や軽減制度等の費用軽減制度を紹介しました。第1回目及び最後の出願特許は登録され、現在も有効に存続しています。
同社は下請け加工業者でしたが、発明品を特許出願することにより大手鋼材商社と販売契約を締結し、上市することができました。現在の販売台数は20台となり、知財活動費用を上回りました。また、この発明品は同業者共通の技術課題だったことから全国紙(日本経済新聞)にも掲載され、潜在需要の掘り起こしにつながっています。さらに、発明品の開発がきっかけで同社は、岡山県の経営革新計画の承認を受け、自社製品の開発と製造、販売により脱下請けの第一歩を踏み出すことになりました。自社製品の製造、販売という新たな事業展開により知財活動の重要性、BtoB取引の基本である契約書の重要性の認識を新たにして、更なる技術開発に邁進し高収益企業を目指すことになりました。
今回、知財総合支援窓口の支援を頂き、特許出願、商標登録出願、契約書締結、取扱説明書制作と様々なところでご指導ご尽力を頂きました。その結果、当社の力だけでは到底なし得なかった自社製品の発売という事業につながり感謝しています。これからも知財総合支援窓口を活用させていただき、新しいことに挑戦していきたいと思います。
同社は下請け加工業者でしたが、日々の業務の中にある課題を発見し解消する技術を発明しました。発明は、非常に単純で権利範囲は広く実用的であり、多くのニーズが期待できるものです。発明のヒントは現場にあることが実証された好事例であることから、同社の進むべき方向である下請け脱却を目指し、更なる支援を継続します。 (野瀬 伸一)
脱下請けに寄与する開発技術の知財活動支援(747.8 KB)
掲載年月日:2020年3月 3日
更新年月日:2022年8月 4日