当社は、高級バッグカバースカーフ事業を行うため、2017年1月に株式会社ムーア(商標登録第5977746号)として創業しました。通常のスカーフ、ツイリーも販売しています。現在は専用の店舗を持たずにデパート、ホテルなどでPOP-UP販売やインターネット販売を行っています。
級バッグカバースカーフは、シルク素材を使って高級感のあるデザインを版を使って1枚1枚手刷りでプリントし、色を重ねることで柄を完成させる手捺染や撥水などの染色加工、スカーフの縁を手縫いで巻くなど全て手作業で作り上げた製品です。また、スカーフの中央部のスリットは、特殊な方法で縫製するノウハウがあるため、全製品を自社で縫製しています。
当社は、世の中にない製品を、自社の独自技術で造り上げることが出来たオンリーワン企業であると自負しています。
革製高級バッグを突然の雨から守る目的で、水に濡れても安心な高級バッグカバースカーフを考案しました。バッグカバースカーフは、バッグの柄の部分を出して(右の写真ご参照)バッグ本体を守ることができる一押し商品です。(商品名:ラソワプリュム)ラソワプリュムは、フランス語でシルクの羽根という意味です。
高級バッグカバースカーフは、特許登録(第7029151号)商標登録(第6009689号)、意匠登録(第1615668号)、関連意匠登録(第1631292号)を取得しました。また、米国、韓国、中国、EUの、商標、意匠も登録し、将来的には外国への進出を目指しています。
同社社長は、2016年度地域創業促進支援事業により地元の銀行が主催する「あわぎん創業スクール」に出席して知財との関わりを持ち、これが当窓口を知るきっかけとなりました。アイデアを活かし新規事業を立ち上げるには、手始めとして知財の知識が必要であると思い、当窓口を訪ねて来られました。
同社社長は、雨に関する商品を何としても開発したいとの強い気持ちがあったため、製品開発の段階からよろず支援拠点に連携を依頼しました。また、アイデアの特許性の評価や他社の特許からの知財侵害対策の相談もお受けしたため、当窓口の専門家(弁理士)からも助言を行いました。その後、よろず支援拠点担当者と共に定期的な相談を行い、2017年1月に新会社を設立されました。
高級バッグカバースカーフの生産、販売を目指し、生産委託先との品質向上対策に注力し、スカーフのデザインの著作権の契約に関する支援や特許、商標、意匠の出願支援を行いました。更に、よろず支援拠点と連携して販売戦略を構築し、2018年4月から、自社のホームページを使って販売を開始しました。2019年には、ブランドに精通した専門家の支援により、ターゲットとする顧客の選定やブランドのファン造り、ブランドストーリーの作成など、ブランド構築に向けた販売戦略を立てることができました。
徳島県外国出願補助金を申請するため、同社社長が自ら4か国(EU含む)の意匠を調査した結果、権利化の可能性があることがわかり、世界で初めての製品であることを自信を持ってお客様に紹介し販売につなげることができるようになりました。
2018年後半に展示会への出展を契機にデパート、ホテルなどのPOP-UP販売が始まり、この際のお客様の反応から、販売への手応えを感じ取ることができました。
これからは、POP-UP販売に加えて小売り販売を増やすことにより拡販したいと考えています。また、スカーフの中央部のスリットは、自社で縫製していますので、販売量を増やして縫製の作業員を雇用したいと考えています。当初アイデア段階の製品を開発して、販売することができたのも、INPIT知財総合支援窓口を訪問して、皆さんの支援を受けることができたためと思っています。
外出の準備ができてからの急な雨降りに、大切なバッグを濡らしたくない、バッグを変えると服や靴も変えなくてはいけないなどの体験から、女性の悩みを解決する高級バッグカバースカーフが生まれました。ご家庭の仕事と社長業をこなして、これから益々ご活躍されることを期待しています。 (井上 修)
高級バッグカバーのブランド構築に向けた販売戦略の設計(4.7 MB)
掲載年月日:2020年3月25日
更新年月日:2022年8月15日