当社は、スポーツ機器の開発・製造を行っています。大阪市港区にある、世界のものづくりイノベーションを支える開発拠点「Garage Minato」の第1号ベンチャー企業として2019年に誕生しました。Garage Minatoは、研究者やベンチャー企業、ものづくりの企業が集い、アイデアをより早く具現化するためのプラットホームです。そして、Garage Minatoに関連するものづくり企業7社との開発プロジェクトにより、バッティングティースタンド「SAKUGOE(以下、サクゴエ)」を開発しました。サクゴエは販売開始後、テレビ、新聞等で度々紹介され、野球界で、大変注目されています。
当社の強みは、Garage Minatoを背景に、大阪市港区を中心としたものづくり企業と地域行政とがタッグを組み、野球用品の開発、販売が実現できることです。初めて開発したバッティングティースタンド「サクゴエ」が現在の当社の柱になっていますが、今後も、港区がもつものづくりの技術を生かして、技術力と独自性に優れた製品の開発に取り組んでいきます。
サクゴエは、国内特許出願を済ませ、現在PCT出願の準備中です。また商標登録出願もしております。そして、サクゴエは、プロ野球球団をはじめ甲子園優勝校などにも多数納品されています。
サクゴエは、打撃の衝撃に対する抵抗が少なく、耐久性と打ちやすさを向上させたバッティングティースタンドです。ボールを置く樹脂製のティーの下に鎖で錘を繋ぎ、錘を円筒スタンドの内部に上下動自在に収納することで実現できました。従来のバッティングティースタンドではスタンドの転倒やティーの破壊等のおそれから、ボールの下側を強く叩くことができませんでしたが、サクゴエはこれらのような心配はなく、バットでボール下側を思い切り叩くことができます。現在、野球界において、ボールの下側を所定角度で打撃することが長打のポイントの一つとされており、日本国内に留まらず、海外(MLB)からも注目を集めています。
Garage Minatoが開催するテクノマスターセミナーに参加した際に、知り合ったことが相談のきっかけでした。当時、起業前で、バッティングティースタンドを開発し始めたころで、試行錯誤されていました。そして、商標と特許に関する知財戦略について支援してほしいとの要望がありました。
バッティングティースタンドの開発が進み、起業後、直ぐに商品名「SAKUGOE」の商標登録出願を支援しました。そして、ブランドに精通した専門家によるビジネス展開についての助言を行いました。また、試行錯誤の末、最終製品形態になる頃に、特許出願を支援しました。併せて、専門家(弁護士)による特許を受ける権利の持分に係る契約について助言を行いました。
出願を支援したバッティングティースタンド特許が登録になりました。同社の海外展開を視野に、日本特許出願を基礎としたPCT国際出願、日本商標登録出願を基礎にマドリッドプロトコルによる国際商標出願、グローバルブランド戦略を念頭に支援しております。また、更なる改良型バッティングティースタンドの知財戦略についても助言を行っております。
サクゴエは、Garage Minatoを背景に、大阪市港区を中心としたものづくり企業がタッグを組んで実現できたものですが、その需要は国内にとどまらず、世界に通用するものであると確信しております。このサクゴエを通じて、社内および地域中小企業の知財意識が大幅に高まり、知財力が向上しました。
相談のきっかけは商標の相談でしたが、知財総合支援窓口は、アイデア段階から事業化まで、商標・特許のみならず、知的財産権全般について丁寧に支援して頂けます。新商品の開発において、特許、商標、契約など種々の分野の専門家を派遣して、戦略的に支援して頂けます。とても親身になってアドバイスをいただけるので、ぜひご相談ください。
商標の相談から始まり、特許、商品化などについて支援させて頂いたことに大変感謝しております。引き続き、バッティングティースタンドの海外展開を見込んで、ビジネス拡大できるよう知財を通した支援を行って参ります。どうぞよろしくお願いいたします。 (石原 治)
バッティングティースタンドの知財戦略(567.9 KB)
掲載年月日:2020年3月 9日
更新年月日:2022年8月 4日