窓口支援事例
地産地消と脱プラに資するウッドパイロンの知財保護及び契約支援
企業情報
- 所在地
- 長野県東筑摩郡朝日村
- ホームページ URL
-
https://www.redhouse-f.com/about1/
- 設立年
- 2017年
- 業 種
- 製造業
- 従業員数
- 1人
- 資本金
- -
企業紹介
オリジナルデザインの木工製品(椅子、テーブル、バスケットなど)を自ら製作・販売している個人事業主です。木を削り、思い通りの形に仕上げ、それを組み上げたとき、木は家具として生まれ変わります。この瞬間の感動と、使われる方の笑顔を見るたびに、この仕事のすばらしさを実感します。
相談のきっかけ
工房がある朝日村の間伐材を利用して製作したウッドバスケットが、2021年度の信州ブランドアワードで部門賞を受賞したことを機に、模倣品排除のため当該製品の意匠出願をしたいとINPIT長野県知財総合支援窓口が相談を受け、新規性喪失の例外規定を適用して意匠出願をサポートしました。ところが、出願日の1年以上前に本人がSNSに投稿した写真がもとで、結果は拒絶査定でした。
このことが教訓となって、新たに開発したウッドパイロンを公開前に意匠出願したいとの希望で再度当窓口へ相談に来られました。この製品は、地元産の木材を用いて脱プラスチックに資するために様々な工夫を凝らして作った組立て式の保安用パイロン(コーン)で、蝶番で連結された3枚の三角形状パネルで構成されています。最初の相談の時点で、約1か月後に東京ビッグサイトでの展示会に出展することが既に決まっていたため、応急措置的に既存の図面を用いた意匠出願と実用新案登録出願を早急に行うようにアドバイスしました。
支援概要
展示会前に意匠出願は完了したものの、実用新案登録出願は間に合わなかったため、新規性喪失の例外規定を念頭に早期出願を目指して継続支援に当たりました。展示会では予想外の反響があり、複数の企業から「当社で製造したい」とのオファーを受けました。そこで、実用新案を特許に切り替えて出願するとともに、オリジナルの商品名を検討して商標出願することを提案しました。特許については専門家(伊藤弁理士)を活用して、より確実に有効な権利化ができるよう助言を行い、商標については事業者の家族会議で決めた「KOLMIO」の出願についての助言を行いました。
「KOLMIO」はフィンランド語で「三角」を意味しており、商品コンセプトが表れ、親しみやすいネーミングです。
一方、ライセンスオファーのあった企業への対応に当たり、契約書(秘密保持契約、実施許諾契約)の作成に関する助言や相手方との交渉術のアドバイスを専門家(渡邉弁理士)とともに行いました。
支援成果
同社は、開発したウッドパイロンについて意匠出願、特許出願、商標出願を完了し、これらの知財ミックスを基盤として契約交渉を進めてきました。その過程で、意匠(登録第1773174号)及び商標(登録第6853414号)が権利化されたことにより、より優利な条件で複数の事業者とのライセンス契約を締結するに至りました。
また、同社は実質的に一人で製作・販売を行っているため、生産体制や販売力に限界があります。しかし、他社にライセンス生産を委託することで、本製品の普及促進とロイヤリティ収入が見込めます。さらに、複数の知的財産権による製品保護により、顧客の信頼と安心感が向上し、模倣品の排除を図りつつ、ウッドパイロン「KOLMIO」の積極的な市場投入を実現する環境が整いました。
企業コメント
同窓口から継続的にきめ細やかなアドバイスをいただいたことで、意匠登録、商標登録、特許出願によるウッドパイロンの多面的な知財保護ができ、しかも、複数の事業者とのライセンス契約も締結され、大変感謝しております。
また、この製品はウッドデザイン賞2024において優秀賞(林野庁長官賞)を受賞しました。この受賞をアピール材料として今後の販売増につながるように活動を継続していく所存です。
窓口担当者コメント
同社が開発されたウッドパイロンは、優れたデザイン性と機能性を兼ね備え、脱プラスチックの潮流に応える商品です。一連の支援を通じて、知財ミックスで製品保護を強化し、ライセンス契約の締結により、この製品の普及が進み、ひいては利益の向上が大いに期待されます。
(小沢 益也)
地産地消と脱プラに資するウッドパイロンの知財保護及び契約支援(161.2 KB)
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掲載年月日:2025年5月13日