窓口支援事例
株式会社エス・アイ・シー
特許その他

ハイブリッド型地震解錠装置の開発

企業情報

所在地
三重県松阪市
ホームページ URL
https://bousai-jishin.net/company/staff/
設立年
2013年
業 種
技術サービス業
従業員数
3人
資本金
350万円

企業紹介

 当社の阪田社長は、約13年前、三愛物産株式会社に勤務していたとき、地震解錠装置の開発に携わり、これを用いる防災倉庫を大手住宅会社との共同開発で商品化しました。その後この製品を自治体等に販売普及させること、及び更なる製品開発を推進するため、三愛物産株式会社から分離独立しました。独立後は、地震解錠装置に留まらず、災害関連機器の開発を推進しました。

相談のきっかけ

 同社が独立して間もない頃、災害時に車椅子を安全にけん引できる用具を開発中に特許出願を検討されたときがあり、その際先行技術調査でINPIT三重県知財総合支援窓口に相談に来られたのが最初でした。その後、防災倉庫等の鍵束が保管されるボックスの扉を、地震の揺れを感知して開ける装置の開発や、災害無線機能を備えた地震避難誘導ポールの開発等の知財面を支援しました。

支援概要

 同社が創業からこれまで実施した、メカ式地震感震装置を核とする地震解錠防災倉庫、地震避難誘導ポール、地震解錠ボックス、地震解錠扉等の各開発において、当窓口で発明の抽出手法と専門家相談等の支援をしました。
 また、昨年の能登半島地震を契機に、北陸三県をはじめ各市町村から、各市町村の防災センターから防災倉庫等の鍵の保管庫の状態をリアルタイムで確認でき、解錠と施錠がネットを通じて行えるようにしてほしいとの要望が出ました。
 同社はこの要請に応え、約10月の短期間で、従来のメカ式と回線を通した指令の両方に対応できるハイブリッド型地震解錠装置を開発されました。当窓口ではこれらの発明の抽出手法、専門家を活用した特許出願の検討等、できる限りの支援を行いました。

支援成果

 特許出願と同時に早期審査請求したところ、出願から1月を経ずして特許査定(特許第7623556号)を受け、異例のスピードで権利化できました。ビジネス的にも、新機能を搭載した新商品を新たなメニューに加えることで、2024年度の受注額は、前年度の受注額の約3倍になりました。同社の営業範囲は、北海道から沖縄までほぼ全国に及び、全国の自治体に2,000台以上の納入実績があります。新規設置に加え、既納品の機能アップへの改造需要も期待でき、2025年以降もこの受注額を維持できるものと見込まれます。

企業コメント

 当社はこれまでお客様の要望を取り入れることで、新製品の開発を進めてきました。しかし、今回はアナログ、デジタル、ネット技術を融合させる初めての製品でありました。首尾よく開発に成功し、能登半島地震で防災意識の高まった自治体等の要望に対応できる体制ができました。今回開発した技術は差別化技術として、開発当初から同窓口の支援を受け、技術開発と知財戦略を並行して進めました。特許出願原稿を短期間で作成し、早期審査することで1月足らずで登録に至ったもので、関係者の支援と協力に感謝します。

窓口担当者コメント

 車椅子を安全にけん引できる用具の開発、ドローン用搬送荷物収納ボックスの開発、地震避難誘導ポールの開発など、これまで様々な開発に取り組んでこられましたが、その都度、先行特許技術に阻まれ、なかなか知財権を獲得できませんでした。今回は首尾よく特許登録されてホッとしました。
 今後はハイブリッド型地震解錠装置の普及に努めるとともに、高い知財マインドを維持しながら新たな製品開発へのチャレンジを続けてほしいです。 (杉山 早実)

ハイブリッド型地震解錠装置の開発(149.6 KB)

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掲載年月日:2025年6月17日

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