窓口支援事例
有限会社魚作商店
特許デザインブランド

減塩干物の開発とその拡販体制構築及びブランド化

企業情報

所在地
三重県熊野市
ホームページ URL
https://www.uosaku.co.jp
設立年
1977年
業 種
製造業
従業員数
9人
資本金
1,500万円

企業紹介

 当社は、大自然豊かな三重県熊野市新鹿町で、新鮮さと風味にこだわった美味しい干物を製造・販売しております。遠方の皆様には、自社のECサイトのほか、ふるさと納税サイトからも、冷凍品を発送させていただいております。

相談のきっかけ

 同社との最初の出会いは熊野商工会議所の事務局長から、「特許出願を希望している企業があるので支援してほしい」との相談でした。
 特許出願のための検討を進めていく一方で、技術開発の先を見据えて熊野商工会議所とINPIT三重県知財総合支援窓口は連携を取って支援を進めることとなりました。

支援概要

 通常の干物は、塩分を少なくすると素材の味わいが引き立たず物足りなさを感じます。しかし、同社の技術によって、熊野市でしか採ることのできない香酸柑橘「新姫」(にいひめ)を、特殊な方法で添加することで、塩味や旨味を損なうことなく塩分含有量を約半分にできる“減塩干物”を製造することができます。当窓口では、同社の竹内専務と何度も会い、Webやメールも併用しながら、この技術開発について助言を行いました。また、「新姫」が最適という結果に至る過程で数多くの柑橘を試しましたが、それらの評価に当たっては「官能試験法」を採用し、その活用について助言を行いました。同技術は、専門家(小林洋平弁理士)にも助言をいただき特許出願に至りました。
 この技術で製造した商品の拡販をネット販売で強化すべく、ITとECに詳しい専門家(多田優之氏)に、その時点でのサイト閲覧状況分析を基に画面構成などの考え方を中心に、多くのアドバイスをいただきました。また、大都市への展開を意図し、食品マーケッティングの専門家(白石展子氏)にも、顧客目線の取り込み方などの指導をいただきました。
 更に当商品のブランド強化を目的に、熊野商工会議所とも連携して東京で活躍中のデザイナーから指導をいただき、新鮮でかつ減塩にマッチしたパッケージデザインが決定しました。
 なお、この減塩干物は、素材の大骨を取り除いております。これにより、「新姫」の果汁や塩分の魚肉内への浸透が、魚肉全域にまんべんなく行き渡りやすくなっております。更に、焼きやすく食べやすいため、小さなお子さんも含め多くの人に愛されるのではと思っております。

支援成果

 この商品は熊野商工会議所により2023年度に「熊野ブランド」に認定されました。また、東京にある三重県のアンテナショップ「三重テラス」での販売も行い、更に県内最大のデパートでの物産展にも積極的に出品しております。
 また、ラジオ放送局 “FM三重”と当窓口との共同企画で、同社が本件発明に至った経緯や営業強化について、同社の竹内専務に出演いただき放送されました。
 なお、特許請求項は当初の申請通りの範囲で登録査定になりました(特許第7555531号)。

企業コメント

 本件については、同窓口と熊野商工会議所の連携でご支援いただきました。
 同窓口には特許出願のほか、この開発で最も適した柑橘を選ぶ段階で官能試験の仕方についても指導いただきました。さらに、ECサイトのアップグレードを狙って、更に大都市へのマーケッティングを狙って、それぞれの専門家の方を設定いただき、ご指導いただきました。
 一方、熊野商工会議所には今回開発した減塩干物を「熊野ブランド」に認定いただき、またその商品のパッケージについて、著名なデザイナーとの出会いを作っていただくなど、日頃からお世話になっております。
 皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。

窓口担当者コメント

 「これまで塩分量が弊害になって干物を敬遠してきた人たちを中心に、たんぱく質豊富な本商品 “減塩干物”を嗜好いただけることを願って開発を思い立ち、進めてきた」と竹内専務はおっしゃっています。その思いを真に実現するためには、開発と、ECなどの体制強化が一段落した今、白石氏(前述)もおっしゃったように、顧客層のターゲットを絞るなど、戦略的なマーケッティング強化を図ることが重要かと思います。更なる展開を期待しています。 (伊藤 光弘)

減塩干物の開発とその拡販体制構築及びブランド化(493.4 KB)

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掲載年月日:2025年8月 8日

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