ピックアップ事例

株式会社山田製作所(愛知県)

「職人技」を守る。高精度ノウハウを営業秘密として管理

背景

「〇(丸)を〇(まん丸)にする会社」をキャッチフレーズに、職人技というべき研削技術でしか実現できない「真円(まんまる)のレベル」を追求する等、高精度の自動車、建設機械、航空機用途キーパーツの超精密機械加工を行なっています。INPIT愛知県知財総合支援窓口から商標出願の支援を受けていたところ、事業内容から当社の技術ノウハウの話題となり、当社の特異な技術ノウハウは営業秘密としてしっかり管理した方が良いことに気が付きました。この気づきがINPIT営業秘密・知財戦略相談窓口を利用した契機でした。

取組

知的財産戦略アドバイザー(知財AD)に当社を訪問してもらい、加工現場の観察と営業秘密としての情報管理体制をどのように構築するかの意見交換を行いました。ISO9001を取得している当社には技術文書・図面等をリストアップした台帳があります。そこで、まずはISO9001の台帳から秘密情報を特定・抽出する作業を始めることにしました。さらに、技術の肝ともいえる冶具類については図面データを再整備し、紙資料と電子データを分類・整理しました。

情報管理体制を構築することに並行して、当時は新工場の社屋を建設中でした。秘密管理する重要情報はその他一般情報と区分して管理することが必要ですので、このタイミングを活かして重要書類のための専用の保管場所(コントロールルーム)を新設し、監視カメラも設置することにしました。社内情報は「自社情報」「他社情報」の区分けを明確に示して管理し、秘密を明示するラベルを色分けして別ファイルで管理するといった工夫もしています。さらに、立入禁止エリアの設定とその旨の表示も実施しました。

新工場の社屋建設への対応や事業の繁忙さ等にも関わらず、情報管理体制の実運用開始まで1年程度で辿り着くことができました。キックオフ・イベントとして、知財ADを講師として招き、当社で策定した情報管理規程の内容等を従業員に説明する社内セミナーを行いました。その後も社内で徹底して周知しています。

取組を振り返って

営業秘密としての情報管理を知り、自社の「虎の子技術を守る」ことの重要性を、実務面も含め、さらに深く理解しました。以前は加工現場をショールームとも捉えていましたが、現在は情報の開示/非開示の方針を明確にすることを基本とし、全従業員に運用を徹底しています。大手取引先へも、他社から預かった情報はもちろん、自社の高度な技術ノウハウを営業秘密としてしっかり管理していることを積極的にアピールしています。

営業秘密・知財戦略相談窓口からのコメント

2016年9月に初回の支援に伺いました。INPIT愛知県知財総合支援窓口と協力してご支援する中で、アドバイスした事柄には即着手され、社長の意識の高さと仕事の早さに大いに感心しました。また「職人技の若手への伝承」にも大きな工夫がされています。また、監視カメラへの投資も決断し、情報セキュリティーの体制整備にも注力。新社屋建設が活動の具現化とより充実した管理体制構築への大きな追い風となりました。

企業概要

自動車・農業機械・建設機械・油圧機器・電動工具に用いられる精密部品の研削加工メーカー。多種多様な研削盤を所有し、油圧機器部品のポペットを中心に、丸物と呼ばれる円筒形の精密研削や薄物と呼ばれる平面研削部品の高精度研削に強みを有します。NC制御によりミクロンレベルでの研削に対応。最新の研削盤やロボットを積極的に導入し、作業工程を標準化・簡易化することで、未経験者の女性であっても従事しやすい生産体制を整備しています。

名称
株式会社山田製作所
代表者
代表取締役 山田 英登
本社
愛知県あま市花正七反地19番地
資本金
1,000万円
従業員
30名
事業内容
農機機械用・油圧機器用・電動工具用等の精密機械部品の製作・研削加工
電話番号
052-442-1491
URL
https://www.ysei.co.jp

[最終更新日:2019年5月8日]

[この記事に関するお問合わせ先]
知財戦略部 エキスパート支援担当
メールアドレス:ip-sr01@inpit.go.jp
営業秘密支援窓口へのご相談は こちら をご覧ください。

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