ピックアップ事例

三晶株式会社(大阪府)

取引先情報を管理して信用向上へ

背景

商社として国内外から高分子添加剤や不織布、フィルム等の機能性資材を調達し、付加価値を付けてお客様に提供しています。また、自社研究所を持ち、独自に品質試験や応用技術の研究開発を行っています。事業には秘密保持条項を含む取引が数多くあるほか、取引先とは共同研究開発を行うこともあるので、社内において知的財産全般の理解を深める活動に取り組んでいました。そのような中で、取引先から受け取る情報の取り扱いを含めた営業秘密の管理方法に改善の余地があることに気が付き、取り組みを開始することにしました。

取組

社内には、総務部や事業部等の代表者で構成する知財活動委員会(メンバー8名)を組織していました。ところが、どのように営業秘密の管理体制を整えるかについて詳しく知る者はいませんでしたので、INPIT営業秘密・知財戦略相談窓口の知的財産戦略アドバイザー(知財AD)に協力を依頼しました。

まずは、知財ADの具体的なチェック項目に従って現在の管理状況を点検し、当社知財活動委員と知財ADで、秘密とすべき情報が社内でどの程度認識されているかや情報管理の課題抽出を行いました。その結果、社内情報のリストアップと極秘・社外秘等のランク付け、他社情報の管理徹底、従業員が転職する際の秘密保持等の対策が必要と分かりました。

その後、2ヶ月程で社内情報のカテゴリを具体的に挙げながら抽出作業を進め、取引先の情報の取扱いは社内で統一的な規則を作成することにしました。例えば、社員間での情報共有のために秘密情報を電子掲示板等に掲載する場合は、アクセス制限や禁複写・禁転送等の表記や設定が必要であること、また取引先毎に他の情報と分離して保管すること、開発記録は保存すること等です。

運用の前提として社員への意識付けが重要となるため、情報管理規程や従業員用の秘密保持誓約書案の策定と見直しを2ヶ月程度で行い、その後、社長、役員、従業員等を交えた説明と意見交換を行い、理解と納得を得た上で社内規程として策定しました。

取組を振り返って

社長や幹部だけでなく従業員等を含めて議論をしたことで、当社において営業秘密を管理する意識が底上げされました。商社ということもあり、特に取引先に対して会社の信用が高まる活動であることを強調して社内周知を行っています。秘密情報の特定や極秘・社外秘等のランク分けを行い、情報管理規程や秘密保持誓約書等を整備したことで、より安心して事業を行うことができると考えています。今後も取り組みを継続します。

営業秘密・知財戦略相談窓口からのコメント

初回は2017年7月。INPIT大阪府知財総合支援窓口と協力してご支援しました。社内での検討を十分に行っていただいたことで、従前の情報共有の文化とも共存できる、業務効率にも配慮した営業秘密の管理体制となりました。一度流出した情報は決して元には戻りません。会社の信用も同様です。自社情報、他社情報を適切に管理することが自社の信用に繋がります。今回の取り組みが同社の発展に繋がると期待しております。

企業概要

三晶株式会社は、 創立以来研究所を持つ技術志向型の専門商社として、60年以上の長い経験と豊富な実績を誇っております。時代の変化に対応しつつ、レオロジーコントロール・機能性シートの分野のエキスパートであることを常に目指しております。「三方よし」の精神に則り、常に笑顔で、共に働き、共に学び、社会に貢献していくという理念の下、お客様のご要望にお応えし、今後も存在価値を高めていきたいと考えております。

名称
三晶株式会社
代表者
代表取締役社長 川口 照久
本社
大阪市中央区城見2-1-61 ツイン21MIDタワー23階
資本金
9,660万円
従業員
85名
事業内容
食品添加物、工業用薬品、製紙用添加剤、機能紙、ウィンドウフィルム等の輸出入ならびに国内販売および研究開発
電話番号
06-6941-4131
URL
http://sansho.co.jp/

[最終更新日:2019年3月29日]

[この記事に関するお問合わせ先]
知財戦略部 エキスパート支援担当
メールアドレス:ip-sr01@inpit.go.jp
営業秘密支援窓口へのご相談は こちら をご覧ください。

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