窓口支援事例
有限会社祐企建設
特許意匠

公共工事向け道路側溝器具の開発支援

企業情報

所在地
徳島県徳島市
ホームページ URL
https://www.kensetumap.com/company/437085/profile.php
設立年
1990年
業 種
建設業
従業員数
3人
資本金
1,000万円

企業紹介

 当社は、官公庁が担当する行政部門の入札制度を通じて様々な工事を受託しています。工事の内容が決定した後、必要な人数の作業員で工事に着手します。主に土木工事を行っていますが、公共工事であるため、特に工事作業や地域住民の安全に配慮し、効率的に工事を進め、期限内に工事を完了させることに注意を払っています。このような背景の中で、安全性や効率性を考慮した結果、多くのアイデアが生まれています。

相談のきっかけ

 同社社長が、NPO法人の理事長に新規アイデアの話をしたところ、すぐに特許について相談した方が良いと助言を受け、理事長同行のもとINPIT徳島県知財総合支援窓口に来られました。
「道路側溝に設置するグレーチング受枠」の特許登録の可能性についての相談でしたが、特許により他社を排除するのではなく、他社に登録され、使うことができなくなることを危惧して特許を登録したいとのことでした。早速、当窓口の弁理士により、特許登録の可能性について説明を受けて、特許出願を行うこととなりました。

支援概要

 実際に道路の側溝に試作品を設置する工事予定があったため、派遣専門家(弁理士)が現場を訪問し、工事の方法・手順、安全性及び設置効果などの情報を整理しました。その後、同社はグレーチング受枠の意匠(第1687639号)と特許(第6941761号)を登 録しました。
 また、同社は独自でグレーチング受枠事業を行うことは難しいと判断して、県内の会社に販売を委託し、特許技術について特許実施許諾契約を締結し、更にこの販売を委託した会社が愛媛県のメーカーと製造委託契約を締結しました。これらの契約についても専門家(弁護士)を活用した助言を行い、製造販売の事業化体制を整えました。
 近年頻発する集中豪雨対策として、道路側溝の排水性能を高めるニーズがある中で、グレーチングを既存のコンクリート蓋に代えて道路側溝に設置することで排水性能を高めることができます。
 グレーチング受枠の工事は、既存のコンクリート溝蓋4個を撤去し、右写真のように中央の2個の溝蓋部分に受枠を設置し、両端の溝蓋部分には新たなコンクリートを打設し、中央の受枠にグレーチング(写真の青色部)を取付けするだけで完了します。
 また、グレーチング受枠は、両端面から突出する固定用アンカーを備えており、現場打設するコンクリートと一体化して固定されるため、従来のように側溝の周囲をはつって撤去する工事が不要になります。既存の道路や側溝のコンクリートを壊すことなく施工できるため、道路の通行止めも必要なく安全に通行することが可能で、従来工事の10分の1の工程で施工ができ、工事費の削減にも寄与しています。

支援成果

 グレーチング受枠は、行政部門へのB to B向け販売であり、特許登録による技術力や工事費が削減できるなどの利点により、行政から道路側溝溝用の指定同等品とされ、受注を受けた業者は、グレーチング受枠を使用することが徳島県によって決められました。現在のところ、徳島県内の県道、市道、町道などの側溝に取り付けられ、道路の排水溝として活用されています。現在は県外への営業活動を進めています。
 その後も同社は、行政向け商品の開発を続け、2件の意匠.「防臭パネル」(第1700239号)と「防護柵」(第1726409号)と1件の特許「流量制御板とその設置方法」(第7245407号) を出願し、登録しました。各アイデアについて特許出願と意匠出願のどちらが良いかは、専門家(弁理士)のアドバイスを基に同社が判断しました。
 「防臭パネル」は、グレーチングの下に設置して虫や雑草の発生と排水溝の臭いを防ぐことができます。「防護柵」は、排水路に設置する柵部分と足場部分とが連結され、暗きょに人や物が吸い込まれないよう排水溝に設置して、防護柵で生命を守ることができます。「流量制御板とその設置方法」の技術は、最近の異常気象で発生する集中豪雨などによる河川の増水時に、本流河川の流量を制御し、支流河川の氾濫を回避することができます。
 以上のように、特許や意匠技術により、同社は地域社会の安全や快適性に貢献しています。

企業コメント

 当初、グレーチング受枠を徳島市の行政部門に特許の技術内容や工事費削減効果を説明し、採用に至りました。採用後に実際に施工しているときの写真や工事動画を撮影し、県や町などへの説明に利用しています。
 また、NPO法人の理事長と一緒に排水溝の臭いに困っている住民や排水溝への落下に不安を感じていた地域住民に、「防臭パネル」と「防護柵」を説明しましたところ、住民より行政に設置を求める声が届き、防臭パネル(防臭スクリーン・防虫スクリーン)や防護柵がその地域に設置されて住民の支持を得たこともありました。
 今年は、最近のニュースで取り上げられている道路の陥没に対応する「道路等の陥没地盤の補修充填材とこれを使用した地盤補修工事の方法」の3つ目の特許を出願し、審査待ちしています。

窓口担当者コメント

 同社は、徳島県発明協会主催の発明工夫展に、毎年紹介しました技術を応募し、徳島県知事賞などを3年連続受賞し、技術レベルの高さを証明しています。今後もアイデアの発掘を期待しています。
(井上 修)

公共工事向け道路側溝器具の開発支援(153.4 KB)

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掲載年月日:2025年12月 9日

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