意匠制度の基礎
意匠法上の意匠とは(保護対象)
意匠法第2条第1項において、「意匠」とは、
- 物品<略>の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状等」といいます)
- 建築物<略>の形状等
- 又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、<略>)
であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの
と定義しています。
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- 意匠の保護対象の事例
保護対象として必要な要件
- 意匠法上の物品、建築物又は画像と認められるものであること
物品:有体物のうち、市場で流通する動産
建築物:①土地の定着物であること ②人工構造物であること 土木構造物を含む
画像:①物品又は建築物の一部でないこと ②操作画像又は表示画像に該当すること
※物品又は建築物の表示部に示された画像は、物品又は建築物の部分として扱う - 物品、建築物又は画像自体の形状等であること
物品等そのものが有する特徴又は性質から生じる形状等をいいます。 - 視覚に訴えるものであること
人の肉眼によって認識することができるものをいいます。 - 視覚を通じて美感を起こさせるものであること
- 機能、作用効果を主目的としたものや、意匠としてまとまりがなく、煩雑な感じを与えるだけで美感をほとんど起こさせないものなどは、この要件に該当しません。
意匠出願の流れ
- 意匠登録出願を行うには、願書と図面(あるいは代用の写真、ひな形、見本)を用意する必要があります。
- 図面は、意匠登録を受けようとする意匠を明確に表すために十分な数の図をもって記載します。
立体を表す図面は、意匠登録を受けようとする意匠を明確に表すために十分な数の図をもって記載します。例えば、正投影図法による六面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図及び底面図)や斜視図などを基本とし、必要に応じて、断面図や拡大図を加えます。また、図面(線図、CG図面)に代わるものとして写真、ひな形あるいは見本による出願も可能です。
ニーズに応じた意匠登録出願
(1)物品等の部分について意匠登録を受けようとする意匠
物品等の部分について意匠登録を受けることができます。物品等の全体から物理的に切り離せない部分であって、特にその部分にデザイン上の特徴がある形状や、物品等を全体として出願するとその特徴部分の評価が埋没してしまうような形状について意匠登録を受けたい場合に有効です。
(2)組物の意匠
社会通念上、同時に使用される二以上の物品等であって、意匠法施行規則別表で定められた43品目のうち、任意の物品等に係る意匠で構成され、組物全体として統一感があるときは、組物の意匠として意匠登録を受けることができます。
(3)内装の意匠
内装のデザインについても、内装全体として統一感があるときは、内装の意匠として意匠登録を受けることができます。
(4)関連意匠
関連意匠制度は、出願人が同じであることを条件として、類似する複数の意匠を、所定の要件を満たした上で関連意匠として出願した場合には、各々の意匠について意匠登録を受けることができる制度です。関連意匠として登録された意匠は、各々独自に権利を行使することが可能です。
(5)秘密意匠
秘密意匠制度は、設定登録の日から最長3年を限度として登録意匠の内容を公表せず秘密にすることができるものです。
※知的財産権制度入門「第3節 意匠制度の概要」(特許庁)を編集・加工して作成