当社は、先代が魚の行商をはじめ、やがて鮮魚店を構え、更に今の代で、規模の大きい新店舗に移りました。
地場産の高級鮮魚を、主として長崎市内や県外の老舗の割烹料理店に卸しています。
家族4人を中心に事業を行っており、子供達も商売に熱心で、その内事業を任せたいと考えています。彼ら次の世代に繋がる新たな商売のネタをいろいろ考えているところです。
気の置けない家族4人で、意見を出し合いながら一致協力して商売を行うことが強みと考えています。また商売の中で知り合ったいろいろな分野の人達との繋がりは、知らないことが発生した時の情報収集や相談できる場所を知るうえで大いに役立っています。
老舗割烹料理店向けに扱っている地場産の新鮮な魚介類が自慢の商品です。
長崎の伝統加工水産物である「からすみ」を改良した新製品や地場産の魚介類を使った新商品の開発を進めており、近々販売を開始する予定です。
からすみ商品の名称は製造過程で日本酒を用いていることから「大吟醸からすみ」(商標登録第5624610号)と名付けました。
同社は、特許や商標等を耳にしたことはあったそうですが、それらがどのようなもので手続きはどのようにしたら良いかご存じありませんでした。
そこで知り合いの企業に相談したところ知財総合支援窓口の紹介を受け、お越し頂いたのがきっかけです。
従来の「からすみ」は塩辛く生臭さがあるため食通の人達にしか好まれなかったので、一般の人にも受け入れらよう新たな加工方法を開発したが権利化が可能かとの相談がありました。
進歩性に疑問があったので食品分野に詳しい弁理士を派遣し、権利化に向けた新製品の成分分析、アンケート調査などの指導を実施しました。その後、加工方法が公開されるというリスクを理解したうえで同専門家に特許出願を依頼されることになりました。
更に製品化を進めたいとの希望があったため、補助金として「長崎県農商工連携ファンド事業」及び連携者として磁器容器製造企業の候補をご紹介しました。
また、パッケージデザインに対する支援として「長崎県デザイナーズバンク」による工業デザイナーの無料派遣制度をご紹介しました。
更に、商品名称の商標出願も希望されたため、先行調査方法及び願書作成要領を指導しました。
特許、商標など知財に対する認識が深まるとともに、知財に対する関心が高まり、商工会主催の知財セミナーに参加されるようになりました。
特許庁の講師にあいさつしたところ、同社の店舗に掲げているマークの商標登録を勧められ、新たに商標出願を行ったとのことです。
新製品を開発し販売する際には、特許や商標など自社及び他者の権利が重要になります。これら知的財産について分からないことがあれば、知財総合支援窓口でいろいろ教えてもらえます。無料で秘密は守ってくれ丁寧に指導してくれます。まず窓口に連絡したら良いですよ。
鮮魚の小売りを主たる事業にしているが、加工食品の開発にも熱心で、自社技術に誇りを持つとともに、知財に対する取り組みにも積極的であった。窓口からの支援を参考にして迅速かつ意欲的に権利化、新製品の開発と事業化を進めており、今後の新たな事業拡大が期待される。 (加藤 敏)
食べ易い「からすみ」の商品化支援(1.1 MB)
掲載年月日:2015年1月27日
更新年月日:2022年8月22日