当社は陶磁器の企画・デザインをし、全国のインテリアショップ、専門店様に卸販売をしております。
2010年に“道具”をコンセプトに波佐見焼の陶磁器ブランド「HASAMI」を発表。食器にとどまらず、アーティストや企業とコラボした波佐見焼のアート作品、ガラス・漆器など異素材の商品、また廃棄品やB品の問題に取り組んだ商品も手掛けています。
次の世代の人達に「楽しく、やりがいのある仕事をしているなぁ」と思ってもらえるよう、日本各地のものづくりの現場で培われてきた確かな技術と、自由で枠にとらわれないアイデアを合わせて、自分達がかっこいいと思うもの、ワクワクするものを長崎県波佐見町から発信しています。
大量生産を得意とする波佐見焼は、成形・型起こし・釉薬・窯焼き、とそれぞれに作業を発注する分業体制をとっています。多くの人が連携して関わるこの体制は新商品の開発に多額の費用と時間がかかり、また各作業工程での意思疎通の問題を抱えています。しかしその反面、各分野の高い技術力と効率的な生産体制を育んできました。当社はその分業の垣根をこえて連携をとり、20代~30代のスタッフが中心となって新しい感性を加えた商品作りをしています。
当社ブランド「HASAMI」の“season1”は、‘50~60年代アメリカのダイナーで使われていた大衆食器をイメージして、マグカップやプレート、灰皿などを展開しています。これまでの波佐見焼は白を基調としていましたが、「HASAMI」ではあえて焼き物が生み出す色や風合いを楽しんでもらえるよう鮮やかな色使いにしました。スタッキングができるという実用的なデザインで、現代の生活にあった日常食器として幅広い客層に支持を頂いています。
同社は、以前、商標権取得の相談を受けたことがありますが、今回は、商標権の権利侵害警告を受けたことをきっかけにご相談を受けました。
最初の相談は、窓口活用のきっかけとなった商標権の権利侵害警告に対する対応を教えてほしいとのことでした。IPDLやファイル事項の閲覧請求などを活用し警告を発した相手の権利状況の確認方法について支援を行いました。その結果、相手は、更新手続きを行っておらず、権利抹消の可能性が高いことがわかりましたが、権利抹消が確定していないため、抹消した場合と抹消しない場合を想定して、専門家を交え対策を検討しました。
権利侵害警告を受けた商標に限らず、現在使用中の商標を権利化したいとの相談を受けました。同社は、コンセプトに合わせて複数のブランドを持っており、食器以外の商品も開発しています。そこで、現在の商品および今後の商品展開に合わせた有効な権利取得のため、詳しくヒアリングを行い、再度専門家を交えてアドバイスを行いました。その後は、専門家のアドバイスを受けながら、出願、拒絶理由に対する対応など実施をして、権利取得をしています。
同社は、商標権の権利侵害の警告を受けたことをきっかけに商標権の重要さをあらためて実感されました。そこで、社内に兼務ではありますが、知財担当者を配置し、同社で使用しているその他の商標の確認や、新ブランドについての商標権の取得を継続しておられます。また、現在、海外展開に合わせ、海外での商標権取得手続きをも進めておられます。
商標権の権利侵害のこと、商標権取得に関することなどを相談させていただきました。全く知識がない私たちでも懸命なご支援のおかげで、商標権の必要性を認識し、複数の商標権取得へと導いていただきました。現在は海外での商標権取得に向けてご支援をいただいています。知財に関する専門的な知識に併せて、費用の補助制度に関する情報なども教えていただけますので、ぜひ知財総合支援窓口へのご相談なさってください。
権利侵害警告に端を発し、その後、同社の別の商品にかかる商標の保護について支援させていただきました。同社は、新商品を次々と発信されており、海外展開もされています。ブランド価値を高め、ブランドを有効に活用するため、国内のみならず海外におけるブランド保護支援を今後も継続していきます。 (坂本 亜希)
陶磁器商標名の国内外権利取得支援(1.2 MB)
掲載年月日:2015年1月28日
更新年月日:2022年8月22日