昭和7年に林商店として産声を上げた当社は、林 重右衛門 → 林 九洲男 → 林 眞一そして現社長林 竜馬と代を重ね、お蔭様で令和元年をもちまして、創業87年を迎えることができました。幾度となく訪れた厳しい時を乗り越え、その時々の声を、風を感じたものづくりを続けてまいりました。これからも、健康・美・安心を追求し、地球環境に配慮しながら、皆様の声にお応えすべく精進して参ります。当社の目指すところは、空にかかる七色の虹のように、喜びを感じていただけるものづくり、そして仲間づくりです。
当社は「人と自然にやさしい石けんを」という先代からの精神を受け継ぎ、今も天然素材にこだわり、「釜だき」「自然乾燥」という昔ながらの枠練り製法で石けんづくりに取り組んでおります。時間と手間のかかる石けんづくりは、全てが機械化された現代には不似合いかもしれません。しかし、この手間ひまこそが、ものづくりの価値に繋がり、皆様の健康を保ち、地球環境を守るとわたしたちは信じています。合成界面活性剤・酸化防止剤・合成着色料・保存料などは使用しておりません。赤ちゃんから敏感肌の方、お年寄りまで幅広くお使いいただいております。
ヨーロッパで昔から伝わる技法、ソープフィニッシュ。これは木材の保護塗料として石けんを塗りつけ、木材自体の汚れを防ぐという技法です。無垢の木が持つ質感を損なわず、成分的にも健康と地球環境に配慮した、LOHAS時代の製品です。仕上がりが濡れ色にならず、白木の美しさを最大限に引き出すことが出来ると喜ばれています。
従来のソープフィニッシュを改良し撥水効果を持たせたものが、当社のWENNEX(ヴェネックス)です。撥水性あり、難燃性あり、安心な成分という特徴があります。
商標第5540597号「石鹸塗装」 商標第5884765号「マイスターズドリーム」
特許第5181099「木材の撥水処理方法及び撥水処理木材及び撥水処理木材使用製品」
同社では新商品の名称を社内で検討し、2~3件に絞り込みました。社内検討の中で商標の話が出て、他社が商標登録をしているとそれは使用することができないのではないかという話です。そこで商品名の候補に希望順位を付けて、商標として登録されているか否かの調査をしたいと知財総合支援窓口に来訪されました。
福岡県知財総合支援窓口では、独立行政法人工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォームガイドブックおよび当方の商標検索説明書を用いて、商標の調査を支援しています。具体的には、これらの資料を使用して、2台のパソコンを一緒に操作しながら商標の検索をします。残念ながら第1希望の商品名は既に登録されていたので、第2希望の商品名を商標出願することになりました。
商標の出願に際しては、登録願いの作成や出願手続き、出願後の中間手続きなどについて、知財総合支援窓口で支援を行いました。その後、実用新案あるいは意匠など商標以外の知的財産権に関心を持っていただき、新しい名称や工夫したことを知的財産権として権利取得するができないか、という相談をいただくようになりました。
同社では、特許、実用新案、意匠などについても文献調査を行うことができるようになりました。つまり商標以外の知的財産権についても関心を持たれ、新商品、新しい工夫については知的財産としての権利取得を考えるようになりました。一方、同じように知的財産権の有効活用を図ろうとする企業との異業種連携への道も探られています。
当社は新商品の名称を商標出願することから知財への取り組みを開始しました。商標に始まって、特許、実案、意匠など他の知的財産権についても勉強することになりました。一般に中小企業では知財の専門部門を持つ企業は少ないと思います。このような企業にとって知財総合支援窓口は、非常に有効な機関だと思います。
同社の取り組みは、商標の自社出願からスタートして、他の知的財産権へと進展しました。最初は社長が対応されていましたが、現在では時代を担う若手が担当されています。社員全員が自社商品の知財権について関心を持つことこそ、自社の権利保護、他社権利の侵害回避に繋がる現実的な方法と思います。 (金谷 利憲)
商標を中心にした知財への取り組み(678.4 KB)
掲載年月日:2015年1月14日
更新年月日:2019年7月 3日