当社は、昨年、創業80周年を迎えました。戦前より「Made in Japan」にこだわり、小型鉛筆削りを製造しています。日本唯一のプラスチック小型鉛筆削り専門メーカーで、国内外の多くの文房具メーカーに採用されています。色とりどりのプラスチック製の小型鉛筆削りを、年産600万個製造し、国内シェア8割を握り、欧米等にも輸出しています。今後は、ASEAN諸国をはじめ、広く世界に商品を売り出していく考えです。
当社の強みは、成形材料・刃物・ビスに至るまで、日本製を使用し、社内で設計から製造までを一貫して行っている点です。刃にはJAPANの文字と当社ブランドのNJKを刻印し、品質を示しています。芯を損なわずなめらかに削ることができます。更に美しい円錐形に仕上げるために、刃の鋭さ以上に、刃と樹脂成型品の寸法誤差を1μm(マイクロメートル※)単位で調整しています。
※1mm=1000μm
当社は、鉛筆・色鉛筆・クレヨンと削る種類に合わせて仕様を調整した鉛筆削りを提供しています。品質の決め手となる刃先の検査を、刃を重ねて並べ、人差し指で刃先をなぞっていき、指先の感覚と目視で丁寧に行っています。高品質により、製造コストが半分の中国製とも戦えています。力を加えず軽く削れる品質を高く評価して頂いており、一部製品はアジア地域の鉛筆削りのスタンダードになっております。
展示会でタイ企業から、デザイナー用の長芯の鉛筆削りの試作依頼がありました。この鉛筆削り器を、タイ企業と共同開発し、ASEANで販売し、さらに世界に販売展開したいと考えておられます。大阪府のものづくり支援課を通して、窓口に知財支援要請がありました。
同社は、タイ企業を訪問して、デザイナー用の鉛筆削りの共同開発について打ち合わせするにあたり、窓口支援担当者が企業を訪問し、以下の支援をしました。
1.共同開発の新製品について、特許、意匠など多面的に知財を創出し、国際出願を行い、会社名についてグローバルブランドを取得するようにアドバイスしました。
2.海外市場のマーケット調査を行い、海外展開ビジネスモデルを構築するようにアドバイスしました。
3.共同開発での役割分担と、知財リスク、知的財産権の取り扱いを明確にして、共同契約書を作成するようにアドバイスしました。
1.海外知財PDによる、共同開発契約と秘密保持契約の契約方針の支援。
2.商標に関する知財専門家(弁理士)による、日本と海外での商標出願戦略とブランド戦略の支援。
3.特許に関する知財専門家(弁理士)による、新製品の特許調査手法の支援とアイデア検討の支援。
同社は、小型鉛筆削りの専業メーカーとして、高い国内シェアを確保されており、知的財産権の取得はますます重要になっております。窓口を活用して、まだ数カ月ですが、今回の海外展開の案件をきっかけに、知的財産の国際出願の必要性を肌で感じられ、知財権の取得に向け、熱心な取り組みを始められています。
知財総合支援窓口は、中小企業が抱える知的財産に関する悩みや課題をワンストップで解決を図る支援をしていただけます。また、海外案件については、海外知財PD、JETRO等との連携を図り、課題の解決を図っていただけます。
目立たなくても、素晴らしい技術をもっている中小企業を、発掘し、新製品の開発、事業展開をご支援することで、日本の産業を元気にすることができれば、このうえない喜びです。そのために、関連支援機関と連携し一体となって、信頼関係を構築しながら、知財を創出し活用することで、中小企業が世界に事業を展開するのを支援致します。 (大野 健造)
鉛筆削りの海外展開支援(400.6 KB)
掲載年月日:2015年1月 9日
更新年月日:2017年2月13日