当社は、和歌山市において内装業を中心とした建築工事業を営んでいる会社です。主に建設会社の下請け、あるいは一般の方からの直接依頼により、窓回り(カーテン・ブラインド)及び内装(クロス・CF・カーペット等)の施工を行っております。建築関連の産業は、材料費及び人件費の占める割合が高く、最近は材料費が高騰し、また人手不足により人件費も上昇しております。
当社は、最近の上述の問題に対応するため、作業に使用する治具等についても様々な工夫を行っております。このような工夫により、作業効率のよい職人仕事だけでなく、材料を有効利用して、コストを削減し環境にも優しい内装工事が可能になっております。今回出願した「空気抜き治具」は、缶内の空気を簡単に吸引し封印することにより、一度使用し缶に残った接着剤や塗料等の品質を損なうことなく使用できるようにするものです。また、「位置決め治具」は、板に開けられた孔によって簡単にかつ正確に位置決め作業を行うことが出来るようにするものです。
当社は内装業ですので、一押し商品というものはありませんが、お客様のご要望をお聞きした上で、お客様のお部屋に最も適した内装(材料・機能性・色合い等)を提案させていただくことを心がけております。また、上記工夫により、材料を無駄なく使い切り、また、作業効率を向上させることにより、ご予算の中で、お客様にいつもご満足いただけるように心がけております。
同社は、社長様ご自身が日々の作業の中で発明された「空気抜き治具」及び「位置決め治具」を和歌山市のくふう展に出品されるということになり、事前に自社で出願を完了するために相談に来られました。
同社は、以前に1件特許出願されたことがあるものの、これまで支援機関による指導を受けたことがありませんでした。そのため、発明の内容をヒアリングし、何が発明かについて相談者とすりあわせを行いました。その上で、特許調査を行った上で出願したほうが良いのではと助言し、特許調査の手法についても指導しました。
同社は、窓口知財専門家(弁理士)相談をご利用され、特許調査で見つかった公知例に基づいて出願すべきか否かの判断と自ら作成された明細書の内容について、弁理士の指導を受けられました。その結果、「位置決め治具」については出願を断念されましたが、「空気抜き治具」については、「缶の空気抜き方法」として発明をとらえ直して出願することとなりました。後日、弁理士のアドバイスに基づいて明細書をさらに改善されたため、審査に十分耐えられるだけの内容になったのではないかと思います。
同社は、特許については出願すれば何とかなるのではという考えのようでしたが、今回窓口知財専門家とともに指導した結果、権利化を前提とした精度のよい出願が必要であることをご理解いただけたと思います。また、窓口知財専門家(弁理士)の指導を受けたことで、特許制度に対するご理解がより深まったのではないかと思います。
当社は今回窓口知財担当者および窓口知財専門家(弁理士)の指導を受けたことで、特許出願を進めたら、良い権利が費用効率よく取得できるかが良くわかりました。また、何度か指導を受けるうちに、素人が見よう見まねで出願しても費用が掛かるだけでなかなかいい権利は取得できないこともよく理解できました。中小企業が自社で特許出願を行う場合には、弁理士の指導も受けられる知財総合支援窓口に相談されることをお勧めします。
支援機関へのご相談は初めてで最初は戸惑っておられるようでしたが、辛抱強くご対応いただき、その結果、かなり精度の良い出願が出来たのではないかと思います。将来的には、空気抜き治具の販売によるライセンスもご検討されているとのことで、今後の展開が楽しみです。 (熊代 真澄)
窓口知財専門家の支援を受けた特許出願について(175.9 KB)
掲載年月日:2015年1月23日