「大和橘」(やまとたちばな)は、垂仁天皇の御世、忠臣の「田道間守」が天皇の為、不老長寿の妙薬として常世の国から大和奈良に持ち帰ったと伝えられており、お菓子の元祖とされています。
一方、橘やお菓子に関係した近畿一円に広がる地域を結ぶ道を「橘街道」と命名した「橘街道プロジェクト」が提案され、内閣府の地域活性化モデルケースに選ばれました。その中心に「なら橘プロジェクト推進協議会」があり、「大和橘」、「橘街道」の再興、ブランド構築を目的とし、「大和橘」を植樹、育成、収穫、活用して地域発展、商品開発など奈良ブランドとして名産品などを全国、全世界へ発信するために商品開発などを進めています。
奈良盆地を南北に走る古道「中ツ道」は、奈良時代に都であった平城京から南の聖徳太子ゆかりの「橘寺」に通じる「橘街道」という実在した歴史街道のひとつであり、すでにこの街道に植樹を始めています。市長や大学の先生、各界からも多くの賛同を得、また、内閣府の地域活性化モデルケースとしても認定を受け、奈良県だけでなく近畿全体に拡がりがあり、事業の発展が見込めます。
これら事業の推進のために「橘街道」の商標を保有することができ、さらに、関連商標も先行して6件登録になるなど、ブランド発信ができるようになってきました。
当社は、橘を使ったお茶、化粧品、お菓子などの新しい商品開発を行っています。現在は、試作品を作り、「なら橘プロジェクト」に賛同して頂ける方々に使って頂いたり、試食して頂いたりしています。
その中でも右の写真にあるお菓子は「神の実橘」と言い、食べる前に振るとカラカラと音がし、割ると中に橘の香りがする甘い菓子が入っていて、皆様から早く商品を出してほしいと言われています。
同社の代表が奈良県地域産業振興センターの方と一緒に相談に来られ、同社のロゴマークとなる「なら橘プロジェクト」の商標出願の支援をしたのがきっかけです。
同社は「なら橘プロジェクト」を推進していく上で、その象徴となる「橘」をイメージした商標案を出願しました。しかし、先出願があり、そのために拒絶理由通知が来ました。その拒絶理由通知への対応策の相談を行いました。
拒絶理由通知に挙げられた先出願は、「橘街道プロジェクト」を推進している組織の関係 者が出願したものでした。この関係者との話し合いの結果、奈良の「なら橘プロジェクト推進協議会」が「橘街道プロジェクト」の中心母体であることを理解して頂き、登録になっている商標を先出願人から譲渡してもらうことになりました。この譲渡の合意を特許庁審査官に連絡し、結果として、出願している商標と登録商標は同一出願人となり、拒絶理由を解消することができました。
一方、並行して進めていた新たな商品の為の6つの商標出願は新規のネーミングであることから拒絶理由もなく半年後にすべて登録になりました。
同社は奈良でのプロジェクトとして発足し、その後、内閣府のモデルケースとして「橘街道」を再興すると言う大きなプロジェクトに発展しています。その過程で「橘街道」の商標譲渡契約や開発商品の商標登録6件など、多くの知財権を確保することができました。
これらの取り組みにより起業するための基盤が出来上がり、株式会社への組織にシフトしています。
商標出願した後に拒絶理由通知が来ましたが、拒絶理由である先出願の商標を譲渡してもらい拒絶理由を解消するという手法で専門家と共に推進して頂き、難しい課題を解決できました。皆さまも、事業発展のために知財総合支援窓口を利用されることをお奨めします。
非常に大きなプロジェクトの運営ということで、これからも苦労が絶えないかと思いますが、自らの奈良の橘プロジェクトを確実に推進し、2年後の発売を目指した種々の商品化を実現されることを期待しています。 (田中 栄一)
橘街道及びなら橘プロジェクトの商標登録への支援(239.9 KB)
掲載年月日:2015年1月26日
更新年月日:2021年12月17日