当社は、長野県大町市において古くからの町屋(古民家)を活かし、和食の提供を行っています。各客室はそれぞれ雰囲気が異なり、全て庭に面し、静かでゆったりとした時の流れも賞味できます。
また、地域の飲食店、旅館・ホテル等の企業・団体と協賛し、地域の食・文化を提供する地域おこしの一端を担っています。
古民家が醸し出す雰囲気の中で、和紙等の伝統工芸品・地域の作家を紹介するギャラリー、千国街道の歴史の紹介も行っています。
和食レストランでは、古くからこの地域特産の四季折々の食材、「千国街道・塩の道」で運ばれた豊かな海産物を生かし、現在の地元産食材も加え、健康に配慮した料理の提供を行っています。
食・文化を通じ、また、古民家の空間を活かし、日頃のストレスの多い喧騒から離れた、静かでゆったりとした時の流れを感じることができます。訪れた方との輪が繋る願いも込めています。
別の古民家に開設されたギャラリーでは伝統和紙など、地域を拠点として活躍している作家や職人の技を鑑賞できます。
登録商標「塩の道お祭りご膳」は、以下のコンセプトを備えた文化を味わう料理です。
旧家に残されていた、かつて賑わった夏祭りの際に振舞った料理の献立帳を基に、地域の特産品と古来の塩の道街道で運ばれた海産物に、新しい地元産食材を加え、地域出身の料理研究家の監修を得て現代風にアレンジし、健康に配慮した和食郷土料理です。
他の協賛店・施設でも、ご賞味できます。
同社は、地域の振興を模索し、地域の料理店、旅館・ホテル等と協賛し、新たな郷土料理を開発しました。
その料理の名称を考案し商標で保護できないかと、長野県北安曇地方事務所を通して、当知財総合支援窓口に相談がありました。
その料理の名称は、旧街道名と、かつて賑わった夏祭りのおもてなし料理の華やかさを表すものとしたい、という強い思いが込められたものでありました。
同社として、その名称を知的財産(商標)で保護できないか、という相談でした。
同社の希望する商標について、標章、その指定商品・役務名を専門的な見地から検討するため、知財専門家(弁理士)の支援を仰ぎ、助言を得て出願の方針を決定しました。
出願手続きは同社で行う意向であったので、書式的、手続き事項の支援を行いました。
その結果、商標登録を受けることができ、そのことから、登録商標のブランド化・商標の品質面を中心とした維持管理事項の支援を行いました。
同社は、知財総合支援窓口を利用することにより、商標等、知的財産の重要性に「気付き」、登録商標のブランド化を目指しています。
更に、地域の特産物についても地域おこしのため、地域の各種団体と連携して、知的財産の活用を検討しています。地域の他の事業者にも知的財産を活用することの重要性を啓発しています。
窓口に相談することにより、知財専門家の支援を受けることができ、考えていた商標を登録することができました。また、商標登録はブランド化に向けた第一歩であり、ブランドの価値を高める努力が必要不可欠であることに気付きました。
知的財産に関する疑問がありましたら、知財総合支援窓口に相談することを勧めます。何らかの課題解決手段が見つかると思います。
当初は、料理名を商標登録するという事例でしたが、支援を継続していく段階で、古くから地域に伝わる食材・文化を掘り起し、更に現在の食材を加え、健康面にも配慮した料理等の提供を通して、地域おこしする上でも、知的財産の活用は必要不可欠であることを理解頂けたと思います。
今後も相談者のニーズに応える、知財支援を目指したいと思います。
(山崎 雅彦)
掲載年月日:2015年4月28日