当社は、半導体製造の前工程の中でも、フォトリソグラフィプロセスのフォトレジスト塗布・露光・現像装置、及び金属膜のリフトオフ装置の製造・販売を主に行っています。また、シリコン半導体と併せて、化合物半導体、マイクロマシンへの対応にも注力しております。化合物半導体に要求される省スペース化やハンドリングの安定性、マイクロマシンに要求されるような高粘度薬液への対応等、カスタマイズ要素が多い装置をお客様のニーズに応じて提供しています。
当社は国内唯一の塗布・露光・現像の一貫体制の提供が可能な企業です。一貫ラインの提供の場合には、今までの装置単体の販売よりも低価格にて装置が提供できます。また、フォトリソグラフィプロセス装置のワンストップ化ならではのノウハウ提供や材料の選定、プロセスに関するアドバイスや作業員の教育期間の短縮化など、単なる装置の提供ではなく新しいソリューションの提供ができます。
当社独自の特殊ノズルを搭載した高圧ジェットリフトオフ装置
・DIP槽を持たないコンパクトな筐体
・再付着の無い完全枚葉スピン処理
・膨潤処理が必要なく短時間で処理可能
・厚膜メタル・微細パターンにも対応可能
・ドライエッチング後のレジスト剥離装置としても最適
同社は顧客からの様々な要望に応じて開発設計から完成品までのフルカスタマイズでの一貫生産を手掛け、ノウハウを蓄積すると共に、独創性・革新性に優れた技術を持つ研究開発型ものづくり企業を認証する「さいたま市リーディングエッジ企業」にも認証されるなど、高い技術力を有しています。そうした中で、同社が取り組んでいる製品が他者の権利に抵触しないかを中心課題に知財総合支援窓口を来訪し、相談したことが窓口活用のきっかけです。
相談を受けた窓口支援担当者は、自社技術が他社先行技術へ抵触しないかの個別課題への対応だけでなく、一歩進んだ内容での相談が可能な状態になって貰うべく、同社内のキーマンを対象に知財情報活用を目的とした人材育成支援も提案し、実施することとなりました。
人材育成支援では、知的財産の基本を確認し、その活かし方等を事例により研究した後、特許電子図書館(IPDL)による分類検索も学び、技術が類似しているかや抵触関係に有るかどうかの判断方法、知的財産への多面的なアプローチ方法などをアドバイスしました。
同社は権利を囲い込むと言う考えよりも、むしろ他社の権利を侵害しないような対応に重点を置いています。その為、抵触判断の基本的な考え方や判断方法などを会得しましたので、同様の問題については、社内の人材による対応が可能となりました。
IPDLによる情報検索も身につき、同社が必要とする検索も自前で行うことが可能となりました。また、窓口への相談を通じて、窓口のある公益財団法人埼玉県産業振興公社などの他の支援策も積極的に活用し、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金などにも採択されています。同補助金では、フルオートマスクアライナーを開発し、ステージ平行度の調整・管理を高精度かつ自動で行うことができ、完全非接触でギャップ管理を行えるためマスクダメージによる不良率の低減を実現しました。
知財を利用するに当たって、具体的な案件は異なっても、同様なことを繰り返して相談したり、知財を意識せずにもっと経営に活かせる内容まで踏み込んで相談したいと考えるなら、気軽に窓口を活用したら如何でしょう。
先行技術調査のやり方とその抵触を考える時、何をどのように判断したら良いか、自社技術の関連分野で実際に実施して議論することにより、先行技術に対して抵触するか否かの判断が可能になりました。そうして、自社技術に自信を持った経営展開を図り、種々の補助施策も積極的に活用した事業展開をしています。 (大澤 忠行)
知的財産への多面的なアプローチについて。(1.0 MB)
掲載年月日:2015年5月26日
更新年月日:2021年3月17日