中野BC株式会社は平成14年10月に中野酒造・富士食研・紀州ワイン3社が合併した総合酒類(食品)メーカーです。現在、当社では清酒「長久」、「紀伊国屋文左衛門」をはじめ、焼酎・みりん・梅酒等の酒類、地域の特産品を使った機能性素材(梅肉エキス、パーシモンパウダー、青みかん粉末など)及びその機能性食品、全国トップシェアを占める梅果汁の製造および販売などの事業を行っています。技術・研究・開発でニッチトップのものづくりを目指しております。
当社には食品科学研究所、営業部、通販部、セールス&マーケティング部の女性から成るチーム「なでしこ」があります。各部署の意見を集約し、女性のニーズを捉えながら、商品開発から販促までを考えられるチームを作ろうと結成されました。これまでの男性主体の開発とは違う、女性ならではのキレイ且つ大胆な発想で、海外からも愛される大和撫子のような商品の開発に取り組んでいます。
そんな「なでしこ」の第一弾商品として、2015年3月3日に梅酒「てまり」を発売いたしました。
「なでしこ」が、女性のために開発した梅酒「てまり」です。名品である紀州てまりをモチーフにしました。お姫様の遊び道具であった「てまり」は、昔から女の子の身近にある存在で、幸せのシンボルでした。そのように愛されるお酒をつくりたいという思いから、「てまり」と名付けました。紀州 和歌山産 南高梅を使用した梅酒に、それぞれ「赤しそ」、「蜂蜜」 、「緑茶」を加えました。180 ml と500 mlサイズがあるため、おみやげ、パーティー、プレゼントなど、好きな味を好きなシーンに合わせて自分好みに選べる商品です。
「なでしこ」に係る複数商標案について、商標権の登録可能性について窓口に電話相談頂きました。出願すれば商標権取得も望めるが、他日本酒メーカーが使用している商標権(商標上商品が類似では無い。)と事業上紛らわしく、違った形のものを考えるべきではないかと意見させて頂いたことがきっかけとなりました。
「なでしこ」に係る商標案の1つとして「なでしこのお酒てまり」とすることについて、「てまり」の部分に識別性があると考え、商標権取得の可能性があることを説明支援させて頂きました。分断することなく、一連の表記として取得可能性を高めた形での出願を窓口支援させて頂きました。
事業に向けて具体化(ラベル案作成)出来た段階で窓口登録専門家(弁理士)と共に訪問支援を行いました。ラベル表記では「なでしこのお酒てまり」が一連ではなく2段の表記になっていたため、その修正方向(「てまり」と図形の2商標出願。)について支援させて頂きました。同時に商品販売予定が近づく中、それに間に合わせる対応として早期審査請求の手続等について説明させて頂きました。これらの支援を通じて、登録5746621(登録日2015.3.6)、登録5751705(登録日2015.3.20)の2件の商標権を取得頂きました。
同社は産業財産権については御自身による出願手続きなど多く経験されており、造詣も深いと考えております。御自身で取り組まれる中で、知財総合支援窓口をさらに御活用頂いてリスク低減など計って頂ければと考えております。当初は遠慮からか安易な内容は相談されていなかったかと思われますが、現在は確認ということに重きを置いて、多くの御相談を頂けているかと考えております。
「てまり」は3種類、同時発売であったために、その商品名は間違えられないと、知財総合支援窓口に相談させて頂きました。担当者様、弁理士の先生には、商標の勘所を教えていただきました。お蔭様で好評を頂いております。商標の判断には、難しいケースがあります。迷ったら窓口に相談されることをお勧めします。
商標の概要相談から始まり、事業商品に使用する商標権取得まで支援させて頂いたことに感謝しております。専門家と共同して相談事業に貢献する御支援をさせて頂けたかと考えております。今後とも多くの御相談を頂きたいと考えております。 (湯川 正晃)
「てまり」商標権取得とその事業活用(559.5 KB)
掲載年月日:2015年7月28日
更新年月日:2020年2月19日