当社鶴岡工場は、ポリエステルを中心とした衣料用織物の企画・開発・製造を行なっております。平成20年に2つに離れていた工場を1つに統合し、撚糸から織りまで一貫して生産できる工場に生まれ変わりました。また、山形県のいきいき子育て応援企業への登録やCO2排出削減量の認証を受けるなど地域に根ざした活動にも力を入れています。
豊富な撚糸設備を有し、多種多様な糸加工を可能にしています。「他社では追随出来ない織物を合理的に生産する」を合言葉に、最新のサイジングマシーン・多重ビーム織機を導入して生産効率の向上と新商品の開発に努めています。
写真は多重ビーム織機「R9500」
・尿バッグカバー 意匠登録 第1485250号
商品名「コーデ・イーノ」
尿バッグを必要とされる患者さんのプライバシーを守るために、尿の匂いを軽減でき、洗いやすく速乾性・耐久性の高いポリエステルを採用しています。尿のチェックや尿バッグの取り外しを容易にするために、様々な仕掛けが施されています。
他に、医療機器・介護機器分野で1件商標登録しています。
鶴岡地域には、地元中小企業が集まって医療機器開発を行う鶴岡メディカルビジネスネットがあります。医療機器商品を開発するにあたり、他社権利の侵害など知財リスク回避の観点から知財総合支援窓口に、相談したことが発端です。
知財総合支援窓口では、知財に関する知識が無い中小企業の集まりに対して、特許や意匠など、特許制度の基礎講習会を提案。特許庁の産業財産権専門官に要請し、中小企業数十社を集めた講習会を実施すると同時に、窓口で個別案件の相談会を行いました。
相談会において、自社開発商品について知財の活用をはかりたいとのことから、知財総合支援窓口では商標と意匠での権利化を提案し、出願の支援を行い権利化に至りました。同社は、今後の市場性を考えた医療用機器分野での改良品をターゲットにしており、少ない投資金額で知財リスクを最小限に活用できる意匠出願を検討しています。
同社は、知財を活用する方法を学び地域発の新商品開発に生かすことができました。知財を学ぶことによって、自社開発の障害となっていた、知財人材育成や出願費用などの課題も克服できることがわかり、自社商品開発を積極的に行おうと意欲的です。
知的財産は次元の違う話だと思っていましたが、1つ1つ丁寧に親身になって教えて頂き、身近に感じることができました。会社を存続し発展させていくために知財管理は必要不可欠です。これから商品開発を進めていく中で積極的に知財総合支援窓口を活用し、企業価値を高めていきたいと思います。
同社は、本社との連携を図りながら、独自の商品開発を進め、会社全体の利益に貢献する努力を行っております。一時的なコスト競争で海外への活路を求めるのではなく、地方に根差した経営が、人材育成や地域活性化に貢献しております。 (髙橋 正知)
尿バッグカバー(381.7 KB)
掲載年月日:2015年7月 8日