当社は、岩手大学発のベンチャー企業です。
岩手大学との共同研究により、世界最小の超小型プラスチック不思議歯車減速機を開発し、その減速機と駆動源となるモータを組み合わせたマイクロアクチュエータやその応用製品を提供しています。
事業内容:
マイクロアクチュエータとその応用製品の開発・製造・販売。
上記製品や技術、製造装置、評価装置の受託開発など。
世界最小の超小型プラスチック不思議歯車減速機!
当社のマイクロアクチュエータは、駆動源となるモータと、不思議歯車方式の減速機から構成されています。この不思議歯車減速機は、岩手大学の金型及びトライボロジー技術を応用して開発した、 モジュール0.1以下の超小型・高寿命のプラスチック歯車で構成されていることを特徴としております。また、不思議歯車方式の減速機を採用することで、高減速、高精度、高位置保持性、低消費電力が実現できます。
当社初の自社ブランド商品「pipetty(ピペッティ)」は、当社のコア技術であるマイクロメカトロニクス技術をベースに開発した、世界最小・最軽量で、しかも世界初の「ペン型」電動ピペットです。当社の小型・高精度のマイクロアクチュエータを使用することで、高精度の連続分注精度が実現できます。また、小型・軽量でペンのように持ち、手元近くのボタンで分注操作が可能であることで、作業の負担を軽減しながら、ピンポイントの位置に正確に容易に滴下することができます。自社商品ということから、特許だけでなく、商標・意匠の出願も行いました。商標登録第5645899号「pipetty」、意匠登録第1500112,1500113号「電動ピペット」。
同社の社長が、事業拡大のため自社ブランド商品である電動ピペットの開発・商品化を目指すに当たり、特許出願戦略等について、窓口支援担当者に相談したのがきっかけでした。
「自社のコア技術であるマイクロアクチュエータを活用したペン型応用商品の開発・事業化を目指している。進めて行くに当たり、特許などの出願・権利化が重要と考えている。そこで、適切な出願・権利化を図る上で、技術者に対し事業戦略に合う出願・権利化戦略や発明提案書作成に関しての教育や指導を行って欲しい」というのが最初の相談でした。
ヒアリングを行い、知財総合支援窓口の支援内容及び他機関の支援事業を説明しました。
その上で、セミナーやカンファレンス等による複数回の支援プログラム案を提案しました。
複数回の支援プログラム(セミナー及びカンファレンス形式検討会:発明者、その他技術者、同社契約の特許事務所、アドバイザー等が、発明内容や出願戦略について討議を行うもの)において、講師を行ったり、連携機関の紹介等実行支援しました。その後も、国内外における権利取得に向けて、出願戦略検討、各種支援策の活用等について継続支援しました。同社は支援の結果、国内外に特許を出願されると共に意匠・商標の出願をされました。
また、同社は出願後のH25年11月から、世界初「ペン型」電動ピペットの販売を開始されました。
多数の技術者、特許事務所担当者、窓口支援担当者が、多方面から意見を言い合い討議する形式の「特許カンファレンス」を開催したことで、技術者の方々の知財スキルが向上すると共に出願内容の検討・整理が図られたと思われます。また、これまでは特許出願だけに注目されていたようでしたが、今回の活動を通じて、意匠や商標の権利化の必要性を理解されたと思われます。
中小企業の技術や商品は知財で守ることが必須ですが、知識や余力が無い、というのが実情です。しかし、それを解決するのが知財総合支援窓口だと思います。また、企業の知財力を向上するための教育にも大変有効だと思いますので、まずは特許・知財に関する悩みを率直に相談してみるのが良いと思います。
同社において、技術者の方の知財レベルを向上させることは重要な経営課題だと認識できました。そこで、試みとして「特許カンファレンス」を企画提案し、実行の支援を行いました。今後は開発計画中に組み込んで定着させるようにしていただきたいと思います。 (中嶋 孝弘)
ペン型電動ピペットの商品化における知財活動(1.2 MB)
掲載年月日:2015年8月 5日
更新年月日:2022年8月 5日