当社は、自動二輪車変速機主要部品を量産加工するためのツールやワークを保持する治工具や金型の設計・製造を行っています。
創業当初は、汎用旋盤一台からスタートしましたが、現在では設計から製造、検査・出荷までの一貫した生産体制を整えています。CAD/CAM、汎用/NC旋盤、汎用/NCフライス、NC複合機、ワイヤー/型彫放電加工機、汎用/NCの円筒/平面研磨機/NC複合研磨機、三次元測定機、レーザー刻印機、脱磁機等々の最新鋭装置を有しています。
当社は、これらの製品(治工具や金型)を顧客企業が量産に使用するうえで、高精度確保・生産性向上・品質安定・低ライフサイクルコストに繋げるべく、創意工夫・試行錯誤し経験を積み重ねてきています。環境変化に素早く対応するスピード、失敗を恐れない挑戦、高度な技術・品質・納期対応で顧客企業の信頼を得ていくことをモットーとしています。例えば、切削加工でのバイト(金属用刃物)においては、より高度な加工を目指し、「加工に必要なものは自らが工夫して創る」ことを日々挑戦、実行をしています。
写真は、特許出願中の精密歯車の歯切りを量産加工するワーククランプ装置です。調芯精度を高め、段取り時間を短縮し、繰返し使用に耐えるべく新規開発しました。既に、自動二輪車メーカーの変速機用精密歯車の歯切り工程用として納入開始しています。当社従来製品と対比して、調芯精度は1桁アップ、段取り時間は1/10、繰返寿命は2桁アップしています。高精度な変速機歯車の提供により、最終顧客であるユーザーに対しても、安全・快適・高信頼性を有する自動二輪車を提供できているものと自負しています。当社が顧客企業の要望に応え、新しい技術挑戦に取り組んで来ている成果です。
同社担当者が商工会議所で知財総合支援窓口の存在を知り、特許出願の相談をしたいということになりました。
同社社長から工作機械での軸中心を調整により合わせることが不要な技術の発明を説明していただきましたが、何分図面と専門用語のため理解が大変でした。またこの発明についてキーワードによる先行技術調査を実施したとのことでしたが、キーワード検索では漏れが多いのでFIの情報を提供しFIによる分類検索による調査を勧めました。
同社を訪問し、発明の理解のため現物を見せていただくと共に権利化の可能性について専門家を派遣して検討しました。発明の把握、先行技術との相違等を検討した結果、権利化可能性がある旨のご意見をいただき、その後特許出願し、さらにPCT国際出願も行いました。
また同社社長から2番目の発明の相談があり、調査して同一類似の先願がなければ出願することを勧めましたところ、構造が簡単なため当初は出願を躊躇されていましたが、取引先の関心が高いことからその後特許出願されたとのことです。
同社は今まで特許の経験はありませんでしたが、今回の特許出願で、ビジネス上、取引先から大きな反応があり、また特許製品の耐久性において従来のほぼ一桁上の優れた性能が得られることから、取引先からの信頼も厚くなり、顧客企業のプロジェクトの立ち上げ段階から打合せに入れてもらえるようになりました。
知的財産においては、自社の技術資産を権利化していくことと同時に、他社の権利を侵害していないかの先行技術調査を実施していくことが重要であります。この先行技術調査の方法についてもアドバイスしていただき、効率よく調査ができました。PCT国際出願含めて出願から権利化までのプロセスの説明や、補助金・助成金申請へのアドバイスも得られますので、窓口に、まずは相談の一報をお勧めします。
同社の訪問の際、工場見学をさせていただきました。新しい機械装置に加え工場内の温度も一定に管理され、精密金属加工の精度追及の姿勢が徹底されていること、また従業員も若手が多く活気があり更なる発展の可能性を感じました。 (近藤 達憲)
ワーククランプ装置の特許出願相談(783.4 KB)
掲載年月日:2015年8月31日
更新年月日:2018年1月10日