当社は、教育施設製造業として発足し、黒板製造のJIS工場に指定され、全国各地区のグループ会社とネットワークを組み、会社・学校・病院等の備品のシステムレイアウトの設計販売、システムキッチン・収納家具・教育システム等広範囲にわたって設備の多角化に力を入れてきました。
主な製品は、黒板、ホワイトボード、映写スクリーン、実験台、調理台、教育施設設備家具、電動上下開閉装置、木製家具、体育器具、公園施設等を扱っています。大阪、岡山に営業所を持っています。
徳島県産の木材を使った木工製品を学校、病院向けの備品などに製造販売しています。
近年、教育の現場にハイテク技術が使われ、パソコン、黒板を使った電子技術の開発を業界全体で推し進めてきました。
当社も、これらの技術開発に追随して、電子機器を使った教育施設の開発を進め、教育施設家具製造の国内大手3社の一員を担っています。
一押し商品は、右写真のように、アニメ制作会社から依頼を受けて製作したライトテーブルです。
ライトテーブルとは、主に絵の原稿を複写(トレース)するために利用される家具で、蛍光灯などの光源の上に乳白色のガラスやアクリル樹脂板をのせた箱状の台のことです。
このライトテーブルの上から素晴らしい作品が生まれてきています。徳島で開催されていますアニメの祭典「マチ★アソビ」の発展に貢献した商品です。
地震が発生しても、戸棚の中に収納しているものが、外へ飛び出る事はないという自動ロック引手の開発を行い、2つの特許を取得すると共に、ミニチュア戸棚を試作しました。
このミニチュア戸棚を昨年の徳島県発明協会主催の発明工夫展に出展し、徳島県知事賞を受賞しました。この受賞を機に、この機構を使った戸棚の製品開発を早急に進めるため、新たなアイデアを加えた商品開発が、窓口活用のきっかけとなりました。
地震に備えた機構に加え、客先の要望の強い木製の3枚扉の戸棚の開発を行う上で、3枚扉の先行技術調査と特許性の有無が最初の相談でした。特許の相談に対応すると共に、中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業(以下、ものづくり事業と称す)を紹介し、新規戸棚の開発に必要な資金と1年間という活動期間を区切ることで、開発のスピードアップを図ることを進言し、申請に必要な項目を明確化しました。
申請書を作成するために、課題、対策、具体的な実施項目を打合せている段階で、アイデアがまとまり、専門家の弁理士支援を行い、3枚扉の特許を出願することができました。
また、中小企業診断士の専門家派遣によりものづくり事業に申請する骨子を設定し、地震の技術を持っている地元の大学との共同開発を事業計画に加えて、ものづくり事業を採択することができました。これらの集大成として、展示会出展に向けて製品開発を進めています。
同社が取得している登録特許は5件ですが、特許技術により製品化した案件は少なく、ものづくり事業の採択を得ることで、特許と製品開発のつながりを持つことができました。
また、申請書のさまざまな項目を打合せる段階で現状の課題やその対策を整理することができ、登録された特許を生かした商品開発の道筋を明確にすることができました。
知財総合支援窓口への相談は、出願から登録までの支援が中心であり、登録されたものの商品化、事業化は別次元のことと考えていました。当社は、ものづくり事業により新規商品の開発を進めることができ、新商品の発売が見えてきました。特許は登録したけれど、うまく活用できていない企業さんは、知財総合支援窓口を訪ねてみては如何でしょうか。
北島社長は、会社設立の年に誕生し、会社と人生を共にした技術畑の社長さん。こちらの意見に聞く耳を持ち、ものづくり事業の提案に即決していただき、採択につなげることができました。申請書を作成する過程で、打合せに参加することで、更に親密度が増し十分な支援ができたと自負しています。 (井上 修)
特許を活用した事業化プラン作成支援(327.4 KB)
掲載年月日:2015年9月28日