窓口支援事例
北海道スコット株式会社
特許商標ブランド

知的財産の活用で事業拡大が実現

企業情報

所在地
北海道札幌市東区伏古5条5丁目4番30号
ホームページ URL
http://www.hokkaido-scott.com/
設立年
1992年
業 種
産業用ワイパー・トイレタリ製品の販売
従業員数
5人
資本金
1,000万円

企業概要

 当社は、1992年11月に産業用ワイパーやトイレタリー製品を販売する会社として設立しました。具体的な取扱い製品は、各種汚れのふき取りや消毒用のタオル・不織布であり、さらにトイレットペーパーや介護用シートであります。さらに、最近では除菌・消臭剤やその噴霧装置の販売も手掛けています。得意先は、道内一般企業の他、大学、病院、デパート等でありますが、徐々に対象業種が多くなり、また営業エリアも道内から道外へと広がっています。そのきっかけが2010年から開始した「鍵付きトイレットペーパーホルダー」の開発(特許第5363638号)、製品化(商標登録第5481064号:ロールガード)にあります。

自社の強み

 これまで当社の販売戦略は、営業情報と人的ネットワークを駆使して製品の販売を拡大していくことでした。2010年以降は、営業活動に有利となる自社製品の開発も志向するようになりました。新製品開発では製造技術と製造装置が当社にないことが開発スピードの面で弱みでありましたが、その一方で設備投資や維持管理が不要で、他社への製造委託が容易のためイニシャルコストを低くできるというメリット、強みがあります。ロールガードの製品化では、これまで構築した人的ネットワークを活用して、設計に関しては北海道立工業試験場(現在:地方独立行政法人北海道立総合研究機構・工業試験場)(札幌市)に相談し、製造ではT社に委託しました。

一押し商品

 製品開発に向けた取組みを進めていく中で、デパート、大型商業施設(モール)、娯楽・遊興施設等、不特定多数の人が集まる場所に設置されたトイレでは、トイレットペーパーロールの持ち去り、便器への投げ込みが多発し、管理者の悩みの種となっていることが判明しました。これら業界のニーズを把握し、新たに同社独自の製品「鍵付きトイレットペーパーホルダー」を考案しました。平成24年から同製品をホームページに掲載するなどで営業活動を開始しましたが、製品が丈夫である等他社にない特徴があることから現在販売台数が1000台を超えています。

知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 同社は、産業用ワイパーやトイレタリー製品の販売を専業としていたため、知的財産活動に積極的ではありませんでした。しかし、業界のニーズを把握していくうちに、同社独自の製品開発の必要性を感じ、また新しいアイデアをもとに試作していくうちに、知的財産(権利化)についても必要性を感じるようになり、当窓口の存在を知り来所されました。

最初の相談概要

 同社は、試作品の権利化を当初実用新案での登録で十分と考えていました。窓口からは特許と実用新案の相違を説明する一方で、本案件は同社のビジネス展開を考慮すると実用新案ではなく特許での出願が適当である旨を助言しました。しかし、当初その技術内容はいわゆる新規性・進歩性の観点では未成熟であることから、工業試験場での関連技術の担当者に相談し、技術内容を実用的かつ高度にブラッシュアップするよう助言しました。

その後の相談概要

 工業試験場の担当者から指導を受けて、試作を何度か繰り返した結果、大手メーカー製の鍵付きトイレットペーパーホルダーにない特徴を有する製品となったことから、窓口では専門家(弁理士、中小企業診断士)派遣による特許出願支援とビジネスプラン作成支援を行いました。特許査定後も、平成25年度小規模事業者活性化補助金事業を紹介し、採択後は対象製品の認知度が上がり、出荷台数が多くなると同時に、本業である産業用ワイパーやトイレタリー製品の売り上げも上がりました。

窓口を活用して変わったところ

 当初は、知的財産権の種類とそれらの経営への活かし方に付いて、十分な知識がなかったといえます。しかし、特許及び商標の登録後は、それらの効果を具体的に実感できるようになったとの感想が寄せられています。同社は、同種製品のバージョンアップ製品の開発あるいは新たな消臭剤噴霧装置の開発にも取り組むなど、さらに積極的に自社ブランドの構築に努めるようになりました。


企業からのメッセージ

 複数の公的機関から支援・協力を得て自社製品を開発し、その製品を特許で権利化できました。その効果は、その製品の販売台数が徐々に増えただけではなく、主業務であるロールの販売実績が着実に上がってきたことにも表れています。さらに、これまでは想定外の大手企業との直接取引ができるようになり、知的財産の経営への効果、活かし方を実感することができました。

窓口担当者から一言

当窓口の支援制度を有効に活用した、また技術面で公的支援機関からのアドバイスと国の補助金制度も活用した、アイデア段階から製品開発、事業化までと一貫した支援事例です。特許を中心とした知的財産権の活用は、一般に研究開発型企業が主だと思われがちですが、この例のように既製品の販売が主業務の中小企業であっても、ユーザのニーズ把握から新製品開発に取組み、知財の重要性に気づき会社経営の活性化に繋がった好例だといえます。 (赤沼 正信)

知的財産の活用で事業拡大が実現(355.9 KB)

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掲載年月日:2015年9月28日

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