当社の創業は1700年初頭、現在の山形市において初代大沼惣左エ門によると伝えられています。幕末には家運が衰微しましたが、八代目大沼保吉の代になると寿の名声が高まり、当時では驚異的な4,500石の造石をなしました。山形に二工場を設け寒河江では元禄末期創業の石山蔵を引き継ぎ、増改築を成し寒河江工場として操業させました。この寒河江の蔵が大正に入り分家独立し、現在の「千代寿虎屋株式会社」となりました。創業以来、地域密着の酒造りを基本とし、磯部理念に掲げられる4条件“安全で安心して食べられること”“ごまかしのないこと”“味のよいこと”“品質に応じた買いやすい価格”を商品開発の理念として手間暇をかけた手作りの地酒を醸しています。
現在は全量山形県産米を使用して地酒の本質を考えた日本酒造りに取り組んでいます。特に使用する米にはこだわりを持ち、高級酒を作るのに必要な酒造好適米については大江酒米研究会、豊国耕作者の会の2つの酒米生産グループと一緒になって米作りからの酒造りを実践し今日に至っています。また日本酒製造とともに醸造発酵技術と地場産原料を使用した焼酎やリキュールなどを製造し幅広い商品を開発しています。
新商品の純米大吟醸 虎睡 千代寿は標高200M前後の大江町の大江酒米研究会の皆さんが丁寧に栽培してくれた減農薬栽培の美山錦を使用し、自社精米で時間をかけて丁寧に精米した上で鑑評会出品酒と同様の手間暇をかけて醸した逸品です。
吟醸香の華やかさの中に一本心の通った味わいが調和した至極の味わいです。
※商標登録第5768582号「虎睡」
同社は、知的財産に係る手続きを全て特許事務所にお願いしていましたが、社長の交代を機に、自社で行うことを検討し、知財総合支援窓口に相談を行うようになりました。
同社は、平成24年に県企業振興公社から、中国輸出にあたり商標出願をアドバイスされ、中国で商標取得するための方法を検討していました。
知財総合支援窓口では、中国への出願方法として、以前からお付き合いのある弁理士事務所にお願いする方法、当窓口の登録弁理士に依頼する方法、直接、中国代理人に依頼する方法など、見積もりをとりながら検討するようアドバイスしました。
結果、同社は、中国代理人に直接依頼し、商標を取得しました。
同社には、前社長の個人名義の商標、旧社名の商標などが混在し、整理して管理しやすくしたいとのことから、知財総合支援窓口では、移転登録や譲渡手続き方法など、社長自らが手続きできるよう支援を行いました。
同社は、商標管理に係る経費が安くなった分、その他の商標も随時取得して自社の財産とすることができるようになりました。
また、海外輸出の際にも、それぞれの国の事情を理解してから商標取得を進めるようになりました。
商標の取得は、全て特許事務所にお願いすることも可能ですが、自社出願も可能です。経費削減できて、商標制度の理解が深まり、知財人材の育成や知財経営の気付きが、今後ビジネスを展開させる上での大きな財産になると確信しております。
社長交替と共に、商標の自社出願や旧社名からの移転登録、前社長名からの権利の譲渡手続き等、自社で作成できる手続きを積極的に取り入れて、自社手続きを行っています。経費削減できるところは削減して、社長自らコスト削減に取り組んでいます。 (髙橋 正知)
世界から注目される酒造りを目指して(1.2 MB)
掲載年月日:2015年9月28日
更新年月日:2022年8月15日