当社は貿易商社として起業致しましたが、将来は他社と差別化したメーカーになることを望んでおりました。ご承知の通り近年地球温暖化現象が社会問題となり、何か環境問題に貢献できる商品開発を、と考えました。従来のように歯ブラシを丸ごと捨てることなく、歯ブラシ全体の比率からすると先端部のブラシ部分(約1%弱)だけの交換可能なエコ歯ブラシを考え特許を取得することが出来ました。現在、商品化して一部の店舗で発売中です。今後の展開として、特に環境問題に関心の強い生協会員様相手に営業活動中です。
当社は国内特許「第4643757号」と、この度USA-PAT Patent No:US8,973,203 B2も取得致しました。従来の貿易業の強みを生かして、米国にMade in Japan エコ歯ブラシの輸出も考えております。なお、歯ブラシの最終工程作業を社会福祉障害者施設様に依頼致しており、二酸化炭素削減は勿論のこと、ゴミや資源の削減に貢献できる(年間焼却処分される歯ブラシは、10トントラック約1,000台分)、まさに、環境に優しく、福祉社会に貢献できる企業を目標に致しております。
現在すでにエコ歯ブラシとして、歯ブラシ全体の約3分の1程度の先端部分を交換可能な商品は御座いますが、ブラシ部分で交換可能なエコ歯ブラシは世界初と自負しております。
柄部(ハンドル部)は数年使用可能であり、柄部を10年使用した場合の、CO2や資源、ゴミ等々の削減率は、約99.9%以上になると思います。現在はマスコミ等々で環境問題が日常茶飯事に報道され、報道されない日がないような時代であり、子供たちの将来のために貢献できるエコ歯ブラシであります。
同社は元々貿易事業を生業としていましたが、環境問題を鑑み、歯ブラシの使い捨てについての問題を解決する手段として歯ブラシのブラシ部分のみを交換する方式を思いつき、特許出願の相談に来られたのがきっかけです。
同社は歯ブラシのブラシ部分のみを交換するために、ブラシ部分を簡単に脱着でき、かつ、歯磨き中には絶対に外れない歯ブラシ構造を考え、試作し、完成させ、特許出願の相談に来られたのが最初です。
同社はその後、特許出願を行って日本及びアメリカでの特許権を取るとともに、将来的な知財保護費用の低減を目的とし、意匠での権利保護を目的に出願相談にこられ、権利取得に注力をされました。最終的に歯ブラシ、そのパッケージという意匠権での保護、エコ歯ブラシという商標権の取得により、ビジネス環境を整備して発売、TVのWBSやNHK番組で取り上げられ、知名度アップを図って、ビジネス展開に利用されています。
同社は、貿易業という業種から、「エコ」で一念発起して歯ブラシの製造販売という製造業に業態変換をしたもので、金型による試作から、植毛、パッケージング、デリバリーまで、実施できる会社等を見つけて開発を進めました。窓口は相談場所・電子手続場所であるとともに、事業の進捗状況の連絡・報告を受け、事業の実態を把握してアドバイスに努めたものです。なにがなんでも特許権を確保するのではなく、費用対効果の大きな権利取得という点から、日本特許を捨て意匠での権利確保という選択ができたことです。
知財窓口には足しげく通って、窓口担当者との意思疎通をはかることで、自分の知財知識の薄さを補って知財戦略を立てることができます。窓口で何でも相談して、必要な情報を得るといった、貪欲さがカギです。
同社はエコ歯ブラシの着想から知財権の取得、ビジネス方法まで相談から報告まであり、基礎開発から市販まで会社としての動きがよくわかる状況でした。事業化については補助金に頼る企業が多い中、ファブレスでかつ自社の資金内でやりくりして市販にこぎつけたもので、頭が下がります。 (広島 政広)
エコ歯ブラシの開発・販売(443.4 KB)
掲載年月日:2015年10月26日