当社は、「流動を以て、世界を元気にする」を理念に掲げ、独自の流動増幅技術「ストリーマー技術」の応用により水流発生装置を開発、現在、国内外のダム・河川・湖沼・海100箇所以上に当社の装置が設置され、淀んだ水を流動させて貧酸素状態の解消により水域を元気に(きれいに)しています。更に、水から空気に流動の対象を広げ、この度、世界初となる‘羽根のない産業用送風機‘を開発、下水道の工事現場など閉鎖的な空間の停滞した空気を流動させて、健康的で元気に働くことのできる環境作りにも取り組んでいます。
当社事業のコアとなる流動増幅技術「ストリーマー技術」は、様々な分野に応用が可能です。当社の技術は一見、シンプルで分かりやすいことから、簡単に思われがちではありますが、この技術の効果を最大限に引き出すことは容易ではありません。用途も画一的な現場ではなく自然を相手にすることも多く、現場に合わせた最適な設計が必要不可欠です。実際、当社が手掛けてきた水質浄化案件は国内外で100箇所以上になりますが、案件毎に最適な設計を行っています。また、産業用送風機の開発では、自ら何度も下水道内に入り現場の情報収集を行い世界初となる中空構造の送風機を完成させました。当社の強みは、独自技術を生み出す創造力と実用化に必要な情報収集力及び設計力です。
無翼扇型送風機「ホールエアストリーマ(HAST)」
本装置は、東京都下水道サービス(株)、東京ガスエンジニアリング(株)、エビスマリン(株)、イービストレード(株)の4社が共同開発を行い、静岡理工科大学からも技術協力を得て製品化にこぎつけました。下水道管路や、共同溝、貯留槽、建設工事現場、船舶内等の閉鎖された作業空間での換気システムとして開発された、中空構造で羽根がない世界初の送風機です。水流発生に用いるストリーマー技術の活用で、従来のダクトを用いたファン式送風機と異なり、出入り口を塞ぐことなく安全性と作業性を飛躍的に向上させます。
また100V 発電機に対応した同形状の送風機「HAST-e」を開発し消費電力は320Wです。
電気効率はφ300軸流ファンのおよそ半分と低燃費を実現。風量は80m³/minを確保しており、φ300軸流ファンのおよそ1.3倍です(ダクト使用時)。
同社は市場・事業の拡大のため、従来の水流発生装置に対して流動効率向上、動水量増大化を図る新型水流発生装置の開発に着手されていましたが、類似技術を有する製品を見つけ、新型水流発生装置の販売に際し権利侵害していないか、侵害してなければ特許を取得し、権利を押さえるためにはどうしたらよいか悩まれ、窓口に相談に来られました。
上記相談を受け、類似商品の情報収集と新型装置との技術的差異を明確化させることから支援を開始しました。同時に市販されていないが同一もしくは類似製品の権利化状況を確認するため、特許情報の検索方法を詳しく説明し調査を実施して頂きました。
その結果、抵触しそうな特許が数多く見つかり、専門家を含めての権利侵害有無の議論を何度となく行い、漸く権利範囲を広く取得出来そうな特許明細書が完成、出願に至りました。
国内特許出願に至るまでの間に、同社保有の特許に対する被侵害相談や出願前の新型装置販売に対する留意事項の指導、最近では本新型装置の海外進出に伴う海外特許出願並びに海外出願補助金申請の仕方など多岐に渡る相談の支援を行っております。
相談当初では考えられなかった戦略的な知的財産管理を実践して、経営戦略と共に事業を進めていると思われます。また、今回の相談に携わった人以外の従業員にも知的財産マインドを高めるためにどうすれば良いかなどの相談があり、明らかに以前とは意識が異なっているように見受けられます。
「特許出願って大変そうだな」「まず何をすれば良いだろうか」とお悩みの方は、まず窓口に相談をすることをおすすめします。国内外の特許申請や、弁理士のご紹介、類似特許の調査サポート他、知財に関わること全般を丁寧に教えて頂けます。是非ご活用を!
今回支援しました新型装置に関しては国内実証実験先も決定し、今後は海外展開を計画されているとの事で、海外特許出願は基より模倣対策など新たな課題が生じることが予想されます。その際には、知財総合支援窓口を有効に活用して頂けると幸いです。 (足立 尚志)
戦略的な知的財産管理の実践(882.7 KB)
掲載年月日:2015年10月 7日
更新年月日:2022年8月19日