現在、自然に生かされている人間が、いかに自然と共存できるか、 人間が放出して破棄している物を、いかに自然に還元できるかが大きな社会問題になっています。当社は、このような自然と環境問題を、地方都市・いわき市から全国に発信しようと、産・学・官の組織一体となった、いわき産学官ネットワーク協会の一員として取り組み、研究開発から製造販売をしている会社です。
環境問題を高度な技術で解決していくことが当社の理念です。
浄水場から発生する発生土の再利用に着目し、塗り壁用の「珪藻土代替品」を開発。
(株)エコハイテクコーポレーションを設立して、その発生土からなる消臭剤の利用価値を知見し、用途開発を進めています。
いわき市の協力の下、浄水場の施設内に製造プラントを設置するなど、地元ネットワークを最大限に活かし、高専を含めた産学官連携による実証実験により、技術的な裏付けに基づく商品開発を行っております。
当社の消臭剤(吸着剤)は、浄水場から排出される発生土を原料としており、従来、産業廃棄物として処理されるものを再利用することで、産廃の大幅削減と廃棄費用の削減、及び環境保全につながるものです。
特徴として、表面に存在する微細孔による「物理吸着」と表面水酸基による「化学吸着」により、生活空間の消臭(トイレ、靴、下駄箱、たばこ、車内など)に効果があると共に、①ホルムアルデヒド、②アンモニアガス、③酢酸、④二酸化硫黄などのガスを吸着することが確認されています。
同社の社長が、浄水場から排出される発生土を原料とした消臭剤を開発し始めた当時、本消臭剤が知的財産権で保護できないか、知財総合支援窓口へ相談したことが、きっかけとなりました。
浄水場の汚泥が消臭剤として吸着効果があることを、福島高専との研究により知見し、その権利保護について相談があり、発生土が消臭剤となるまでの製法についての権利化に向けた、出願手続きに関する支援を行い、登録(特許第5070636号)まで完了することができました。
現在、市場に於ける用途開発や顧客開拓を進めており、展示会へも積極的に出展してPR活動を行ってきた結果、本製品に興味を持つ企業からの問い合わせが多数寄せられるようになりました。
一方で、大学及び高専との共同研究により、家畜糞尿の悪臭対策や、有害ガスの吸着にも本消臭剤が関与することが判明してきており、その原理の究明や、権利保護に関する相談支援を行っています。
知的財産権については、漠然とした理解に留まっていましたが、知財総合支援窓口へ相談したことで、効果の検証作業や権利化のための発明構成の在り方などを実践する機会を通して、知的財産権に対する理解が深まると同時に、知的財産権の重要性を、身をもって体験することができ、今後も経営手法のひとつとして活用する風土を確立することができました。
知財総合支援窓口は、単に便利な相談窓口として利用するのではなく、自身も知的財産権を理解し活用する意思を持って相談することで、相談内容もより具体化し、課題が具体的であれば、より具体的な助言や支援が得られることを体験しました。
経営や事業に関する考え方や拘りを持って、企業として自身として何を目指すのか、目標が明確であれば、その達成のために知的財産権をどのように活用できるのか、様々な助言や支援が知財総合支援窓口から得られると思います。
消臭剤の権利化から、用途開発等の相談支援を行っていく中で、この消臭剤の潜在的能力の高さに驚かされ、窓口支援担当者としても非常に興味を引く商品です。商品として、また事業として社会的に認知されるまで、支援を継続して行きたいと考えています。 (桐生 正人)
浄水発生土を原料とする吸着材の権利化と事業展開(260.2 KB)
掲載年月日:2015年11月10日