当社は静岡県熱海市にて鮮魚店として創業し、徐々に練製品製造を始めました。その後、創業者没を機に本格的に練物製造販売に特化。本社工房の移転と共に惣菜等の許認可を得、食品工房として食のプロを相手とした食品製造に取組んでまいりました。現在では熱海唯一の蒲鉾工房です。製品は、保存料等を添加せず、人の温かさを感じる手造りを大切にした、自然派食品を心がけて製造しております。今後は仕出し、お菓子等の新たな展開を目標にさらなる飛躍をめざしております。
熱海唯一の蒲鉾工房として、食のプロと長年培った技術力・開発力と、機敏で柔軟な組織力で、オーダー製造を中心に多品種少ロット製造への対応が可能です。また地場の食文化を大切にした直売店では、保存料無添加、熱海・伊豆ならではの四季折々の旬の素材の良さを活かし出来立てのおいしさにこだわった製品を販売。「いつもおいしい」を目指しております。食材を自由に組合せ、オリジナリティーある製品造りを得意とする各スタッフの人間力・工夫力等が当社の強みです。
当社は、四年連続で熱海ブランドの認定を受けていますが、中でも【おひさまだい!だいだい胡椒】が一押し商品です。南熱海の輝く太陽の光を浴びて育まれた橙は、日本一の生産量を誇っています。しかし、その多くは鑑賞用と少量がお菓子などで使われるだけで、時期を過ぎれば破棄されていました。これは橙の味の特徴が苦味のためで、これが利用促進の妨げとなっていたからです。そこで「苦味を逆に活かせないか」と、取組みをスタート。その苦味を生かし、辛みと融合させることに成功したのが【おひさまだい!だいだい胡椒】です。BBQ・鍋・豆腐・肉・魚(特に青魚)等の薬味でお使いいただけると新しい味わいをお楽しみいただけます。熱海発(初)の調味料です。
新商品が熱海ブランドにも認定されたことから、これを商標出願したいと希望され、弁理士に相談したところ、商標権登録は無理である旨、回答され、登録可能性の高いネーミングの考え方についてアドバイスを受けるよう知財総合支援窓口をご紹介いただきました。
相談者は同じ製品のシリーズで3種類を販売されており、それぞれにサブネームを付けられていましたが、サブネームには商標登録されているものが含まれていました。そこで、商標制度について詳しくご説明し、商標的な問題点をご理解いただきました。その上で、費用対効果的な観点からも、新たなブランドネームの検討を提案。ネーミングの考え方と称呼検索方法等を指導しました。
社内でネーミング案をご検討いただいたものの、登録性の高いネーミング案は中々出て来ませんでした。そこで、専門家も交え、ネーミングの考え方について改めて指導を行い、検討いただいた結果、「おひさまだい」というネーミングが案出されました。この「おひさまだい」は、従来サブネームとして使われていた「おひさま」と「だいだい」の「だい」を組み合わせたものです。この後、このネーミングは商標出願され、商標第5777438号として登録になりました。また、出願にあたっては、商工会議所に連携を依頼し、補助金活用の支援をいただきました。さらに、製品の長期品質保持が課題となっていたため、静岡県工業技術研究所にも連携を依頼。品質安定策についてご指導いただきました。
今回の取り組みで、商標の重要性と共に、ネーミングの案出、活用法を十分ご理解いただけました。新製品開発/新規事業開拓に積極的に取り組まれていることから、今後ますます商標権の取得/活用をしていただけるものと思われます。
当社は自社のブランド化、イメージアップを進めるための方策についてのノウハウが全くありませんでした。必要な支援機関をつなげていただき短期間で1つの方向性を見出していただき感謝しております。
初歩からご指導いただけるので遠慮なくご相談するといいと思います。
今回の取り組みでは、知財的な支援だけでなく、様々な支援機関との連携を通じて、経営課題解決のお手伝いをさせていただけたかと思います。今後も、事業拡大に向けて商標権を積極的に活用いただき、ブランド構築に繋げていただけることを期待しております。 (中村 宏之)
「おひさまだい!だいだい胡椒」の商標取得支援(351.2 KB)
掲載年月日:2015年12月 8日
更新年月日:2022年8月 8日