当社は、独自に発見し培養してきた生菌を用い、天然の農水産物を原料として発酵させた動物用の飼料添加剤を開発して来ました。この飼料添加剤の生菌は、動物の腸内に達し悪玉菌の効果を抑え、飼料の栄養素の吸収力を高めるとともに、病原菌に対する免疫力の向上や抵抗力も示してくれます。
当初、有機肥料や土壌改良剤として提供してきましたが、その後、養殖魚用生菌製剤として販売したところ、良質な肉質の育成が可能で好評を得ました。近年は、養鶏やエビの飼料添加剤としての製品も販売し、国内に限らず海外への販売計画を進めています。
独自に発見し培養しながら維持している生菌が自社の強みです。またこの生菌を用いた発酵には、長年の研究と経験を織り込んで作り上げた独自の発酵プラントを用いています。
養鶏用に特化した生菌製剤を用いた発酵飼料添加剤が一押し商品です。(商標登録第5008166号)
生菌の働きにより、生育を促進するとともに、鳥インフルンザ等の病気に対する抵抗力を持つことを、大学との共同研究で明らかにしました。
これらの成果を基に特許出願を行い、国内とともに海外への販売を計画しています。(PCT出願JP2015-052242)?
同社は、かねてより、特許や商標などの知的財産を活用した事業を進めており、度々知財総合支援窓口にもご相談をお寄せいただき、都度支援を行って来ました。
同社主力製品である養殖魚や養鶏に用いる「飼料添加剤」を新たに開発したが、特許取得は可能だろうか、との相談がありました。ただ従来製品に新たな成分を追加しただけの技術であり、進歩性に疑問がありました。そこで、本分野に詳しい技術士を派遣し、当該分野における技術的価値を評価する指導をお願いしたところ、効果が非常に大きいため「用途発明」の可能性があることが分かりました。
同社では特許出願を希望されたので、同技術士を再度派遣し、同技術の効果を定量的に提示するための検証試験の方法につき指導を行いました。更に当該技術分野の権利化に詳しい弁理士を派遣し、特許出願に向けたデータ整理の方法や結果の評価に対する指導を行いました。尚、試験結果の分析に対する支援機関として、長崎県と福岡県の公設試を紹介しました。特許出願は、派遣した弁理士に委託されましたが、国際出願を希望されたので、特許庁のPCT出願に対する促進交付金と手数料の軽減措置の制度を紹介しました。
これまでも種々相談をお寄せいただいていましたが、今回、知財の専門家のみならず技術士という技術的な専門家の派遣指導を行うことで、より多面的な支援を受けられることを認識いただきました。また検証試験の中で得られたデータは、当該製品の展開を進める中で、製品の性能を示すPRの材料として用いたいとのご意向です。早速、海外から当該製品の引き合いが来ており、今回の特許出願を活用しながら同国での事業展開を進めて行くとのことです。
権利取得のためには、その効果が大きければより可能性が高まります。その効果を十分示すためには適切な検証試験が必要になります。知財総合支援窓口では、技術的な専門家や公設試などとも連携し技術面での支援をしていただけるので、ぜひご活用ください。
知財総合支援窓口では、開発技術の検証など、知財に係る技術的な支援も行います。適切な検証試験を行うことで開発した新技術の有効性を提示でき、事業展開に役立ちます。当然特許取得の可能性も高まります。 (加藤 敏)
技術的な専門家支援による養鶏用飼料添加剤の特許出願(311.5 KB)
掲載年月日:2015年12月21日